かまだ守恭【香川県議会議員】

令和元年11月定例会

ただいまから香川県議会自由民主党議員会を代表して、当面する県政の諸課題について、知事並びに教育長に質問させていただきます。
 質問の第一点は、来年度予算編成についてであります。
 消費税率引き上げから約二カ月となり、新聞報道等によれば、混乱は最小限に抑えられたとされておりますが、世界経済情勢なども考えると、今後も県内景気動向への注視は必要と考えられます。
 また、先月の台風十九号などによる被害を受け、国でも災害に強いインフラづくりを進める国土強靱化への対応などの補正予算の検討が進められております。本県でも、今後の台風への備えや南海地震への備えを考えれば、今年度同様にハード、ソフト両面での対応が必要です。
 さらに、いまだ人口減少対策や地域活性化の取り組みは端緒であり、今後もしっかりと取り組んでいく必要があります。
 そのほか、高齢化社会などへの対応としての社会保障施策の推進や、JRなどの地域公共交通の確保、地域経済活性化への取り組みとしてのインバウンド対応、県内中小企業への支援、企業誘致など、対応すべき課題は山積みです。
 その一方、提案理由説明でも知事が述べられていましたが、県の財政状況はかなり厳しい状況であるようで、知事も、持続可能な財政運営と山積みの課題への取り組みの両立という難しいかじ取りが求められるでしょう。
 そこで、今後の財政運営をどのように進めていくのか、その上で令和の御代となり初めての当初予算編成に当たり、具体的に何に重点を置いて来年度の予算編成を行うのか、知事のお考えを伺います。
 質問の第二点は、文化芸術の振興についてであります。
 文化芸術活動は、人間が本質的に持つ創造と表現の欲求に基づくもので、そこから生み出される文化芸術は、人々の暮らしを豊かにする基本的な要素の一つであり、複雑化、不確定化が進み、多くのストレスを抱える現代社会において、その心に潤いを与える特性も相まって、その必要性はより高まってきています。
 この十年余りで国内におけるインバウンドが飛躍的な伸びを示しており、本県においても、いわゆるアートツーリズムの来県者が増加していると感じています。
 以前は、アートが誘客につながることなど考えられないことでしたが、今ではツーリズムの目的で、文化芸術は欠かせない要素となっており、昨年度、世界の観光・ツーリズムメディアに瀬戸内や香川が数多く取り上げられていることが、それを物語っているのではないでしょうか。
 まさに、これから厳しさを増す国内外との地域間競争の中で、その地域の文化力が物を言う時代が訪れています。一口に文化力といっても単純なものではなく、その地域の長い歴史の中で、そこに暮らす人々の営みの積み重ねそのものが文化であり、その文化の中からその地域に根差した芸術が生まれ、そうした文化芸術が持つ歴史性、多様性、多面性、重層性、世界性や住民、社会とのかかわりなどの総和が文化力になると考えます。
 本県においても、日本を代表する現代アートの祭典瀬戸内国際芸術祭を初め、世界遺産登録を目指している四国八十八箇所霊場のお遍路文化、香川漆芸や国内最古の歴史を誇る県展、昨年六十周年を迎えた県民誰もが参加できるかがわ文化芸術祭、著名な音楽家を輩出するクラシック音楽界など、幅広い文化芸術が育まれてきました。
 こうした香川が有するすぐれた文化資源を最大限生かし、文化的創造性にあふれた地域づくりを進め、地域の活力アップにつなげていくことが重要ではないかと考えます。
 県では、ことし香川県文化芸術振興計画の第三期計画の二年目を迎え、「断トツのアートの力で香川を日本一住みたいまちに」という目標の実現に向けて取り組まれていますが、文化芸術振興計画の取り組み状況と、今後、どのように展開していくのか、知事にお伺いいたします。
 また、本県の多様な文化資源の中でも、特に香川漆芸は、人間国宝を五人も輩出し、世界に誇る伝統工芸であり、その技術・伝統を継承し、将来に向けて発展させていくことが、我々の責務であると考えます。
 そこで、香川漆芸の継承・発展に向けては、若手作家を育成し、活躍できる環境づくりが不可欠であると考えますが、知事のお考えをお伺いします。
 質問の第三点は、地方公共団体における内部統制制度への対応についてであります。
 我が国は、少子高齢化の進展に加え、人口減少社会を迎えており、人々の生活を支えるために地方公共団体が提供する行政サービスの重要性は、今後、ますます増大するものと考えられます。
 行政ニーズが多様化・高度化した現代社会においては、地方公共団体は、医療や福祉、教育、商工、観光などといった幅広い分野で住民からのニーズにきめ細やかに対応する必要があり、地方公共団体が限られた人員と財源の中で、安定・継続して質の高い行政サービスを提供していくためには、事務を適正に処理することがこれまで以上に求められております。
 こうした中、地方公共団体における適正な事務処理の確保を図るため、平成二十九年に地方自治法が改正され、令和二年度から地方公共団体における内部統制制度が導入されることとなり、都道府県知事は内部統制に関する方針を策定するとともに、これに基づき必要な体制を整備することに加え、会計年度ごとに内部統制評価報告書を作成し、監査委員の審査意見をつけた上で議会へ提出し、公表することが必要になります。
 内部統制は、会社法や金融商品取引法において義務づけられるなど、民間では浸透している制度でありますが、その定義については、業務の有効性及び効率性や財務報告の信頼性などの四つの目的が達成されているとの合理的な保証を得るために、業務に組み込まれ、組織内の全ての者によって遂行されるプロセスとされております。
 地方公共団体における内部統制は、この定義を踏まえ、住民の福祉の増進を図るという組織目的が達成されるよう、行政サービスの提供等の事務を執行する長みずからが、組織目的の達成を阻害する事務上の要因をリスクとして識別・評価し、対応策を講じることで、事務の適正な執行を確保することであるとされております。
 内部統制には、適切な事務処理の確保と法令等の遵守の徹底、職員の意識の改革などの効果が期待できますが、その実施に当たっては、できることから始め、少しずつ発展させていくことが必要であるとともに、人的・財政的な制約がある中で、費用対効果も十分に踏まえることが重要であります。
 また、県では、既に適正な事務処理をするために、マニュアルやチェックリストの作成や、庁内において審査や検査の体制を設けているものなど、内部統制の考え方は存在しており、今回の法律改正に伴う体制整備に当たっては、こうした既存の仕組みを活用することも有効と考えます。
 そこで、来年度の内部統制制度の導入に向け、現在、どのような検討をされているのか、また、今後、知事はどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。
 質問の第四点は、介護人材の確保についてであります。
 少子高齢化の進展に伴い、生産年齢人口の減少が顕著となる中で、介護を必要とする方が適切なサービスを安心して受けることができるためには、介護人材の確保は喫緊の課題であります。
 厚生労働省が昨年五月に公表した第七期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数によると、いわゆる団塊の世代が全て七十五歳以上になる二〇二五年度には、全国では約三十四万人の介護人材が不足するとされており、本県においても約二千五百人が不足すると推計されています。
 また、現状においても、本県の介護サービス職種の有効求人倍率は四倍に近づいているほか、公益財団法人介護労働安定センターが行った平成三十年度介護労働実態調査によれば、従業員が不足していると感じている介護事業所が、その不足している理由について、全国では約九割が、本県でも八割以上が「従業員の採用が困難である」と回答しているなど、介護人材の確保は一段と厳しくなっております。
 こうした状況の中、国においては、二〇二五年以降、高齢者の急増から現役世代の急減に人口構造が変化するという新たな局面における対応として、社会の活力の維持向上のため、高齢者を初めとして多様な就労・社会参加を促進し、社会全体の活力を維持していくことを新たな課題としており、本県においても、これまでの取り組みをより一層推進することに加え、新たな介護人材確保の取り組みも必要ではないかと思われます。
 また、国においては、新たな介護の担い手として、これまでのEPA、経済連携協定に基づく特例的な外国人材の受け入れに加え、平成二十九年十一月に技能実習制度に介護職種を追加するとともに、本年四月には、介護分野を含む新たな在留資格「特定技能」を創設し、向こう五年間で六万人の外国人介護人材を受け入れるとしていることから、今後は、本県でも外国人介護人材が増加していくことが見込まれます。
 こうした中、既に外国人介護人材を受け入れている施設からは、生活面においてさまざまな悩みを抱える方もいらっしゃるという話を聞いております。本県では、四月から外国人からの生活相談などの一元的な相談窓口を設けるなどの取り組みが行われておりますが、コミュニケーションが求められる介護現場においては、外国人介護人材が円滑に就労・定着できるよう、さまざまな支援をしていくことが特に必要ではないかと思われます。
 そこで、介護人材の確保のために、現在、どのような取り組みが行われており、今後、どう取り組んでいくのか、知事のお考えをお伺いいたします。
 質問の第五点は、中小企業の販路拡大についてであります。
 我が県の中小企業について、その状況を見ると、県内の企業数に占める中小企業の割合は九九・八%とそのほとんどを占め、従業者総数に占める中小企業の割合も八三・五%と、その多くを占めていることが、ことし国が発表した中小企業白書にまとめられております。
 県内中小企業の中には、特にものづくり企業においては、国内でも有数のシェアを誇るナンバーワン、オンリーワン、ニッチトップ企業なども数多く存在しており、まさに中小企業は本県経済の屋台骨を支える重要な役割を担っていると言えます。
 ことし八月、県が発表した工業統計調査によると、従業者四人以上の製造業を営む事業所の数は、平成二十五年の二千二百六から平成三十年には千八百四十七に減少する一方、製造品出荷額については、平成二十五年の約二兆二千八百億円から平成三十年には約二兆五千八百億円に増加しており、県内のものづくり企業は大変厳しい状況の中でも、よく奮闘しているのではないかと思われます。
 今後、国内市場の動向は、先進国の中でも速いスピードで進む少子高齢化により、国内の人口が減少を続ける中、国内市場も縮小していくことが見込まれており、それに伴い、国内市場における地域間競争もますます激化することが予想されます。
 他方、海外市場に目を向けると、中国やASEANなど有望な輸出先として見込まれる国々がある中で、さまざまな国際情勢の変化や、国によって異なる商慣習など、経済のグローバル化への対応も課題となっております。
 我が県に限らず、国内の各地域も同じ状況であると思いますが、こうした国内での地域間競争や経済のグローバル化の潮流の中で、自社の強みを生かし、国内外における販路をいかに開拓し、また、拡大していくかが、地域経済の活性化の鍵を握っていると言っても過言ではないと思います。
 県内のものづくり企業は、高い技術力を誇っているものの、とりわけ中小企業においては、限られた人員体制の中で、いかに販路の開拓・拡大を行っていくのか、その課題に直面している状況にあります。
 このような状況の中、県として、課題を抱えている県内中小企業の販路拡大への支援に積極的に取り組むことで、県内経済を活性化していくことが求められていると考えます。
 そこで、県内のものづくり企業、とりわけ中小企業の販路拡大への支援について、今後、県としてどのように取り組むのか、知事にお伺いいたします。
 質問の第六点目は、国際航空路線の維持・拡充と外国人観光客の誘致についてであります。
 観光庁の宿泊旅行統計調査によると、本年一月から八月の本県における外国人延べ宿泊者数は約四十四万五千人泊と、過去最高となった昨年の同時期と比べ一・二七倍になっており、順調に増加傾向にあります。
 本県における外国人観光客を初めとする交流人口の拡大は、例えば、昨年来相次いだ宿泊施設の新規オープンを初め、裾野が広いと言われる観光関連産業の活性化など、県内経済の発展に大きく寄与するものであり、言うまでもなく新・せとうち田園都市創造計画の最終年度である来年度へ向けて、成長する香川を牽引していく重要な施策であります。
 また、本県における今年度の外国人延べ宿泊者数の内訳は、高松空港の定期航空路線の就航先である台湾を初め、中国、韓国、香港の四カ国・地域を合わせると約八二%と、昨年度と比べ約四ポイントも高くなっており、このことからも、本県としては引き続き東アジアとの定期航空路線を活用した外国人観光客の誘致を着実に推進していくことが必要であると考えております。
 このような中、台北線が来月から週六往復に減便され、また、日韓情勢の悪化に伴い、ソウル線が週三往復に減便されたことは、本県の交流人口の拡大を図る上で非常に残念なことであります。今後は、両路線における現在の利用状況や海外情勢なども踏まえつつ、インバウンド、アウトバウンド双方での利用促進に取り組むとともに、両路線のデイリー運航復活に向けた取り組みを推し進めていく必要があります。
 一方、既存路線の上海線と香港線については、インバウンド利用の割合が高い路線であり、また、高い訪日需要を背景に、今年度の利用率は好調に推移しており、両路線ともに九月末までの今年度上半期の利用率は九〇%台であると伺っております。香港線については、先月末から週五往復へ増便されましたが、現地での逃亡犯罪人条例等改正案に端を発した抗議デモが現在も継続しており、抗議デモなどによる海外情勢にも注視しつつ、今後の増便を見据えた外国人観光客の一層の誘致を促進していく必要があると考えております。
 そこで、高松空港における国際航空路線について、各路線・就航地の利用状況や特徴に加え、本県の航空ネットワークを取り巻く現状を踏まえた上で、台北線及びソウル線のデイリー運航復活へ向けた取り組みをどのように行っていこうとするのか、また、利用率が好調な上海線と香港線において、将来の増便に向け、一層の外国人観光客の誘致を図るためにどのように取り組むのか、知事にお伺いいたします。
 質問の第七点は、県産農産物のブランド力の強化についてであります。
 本県では、恵まれた自然や立地のもと、すぐれた農業技術や創意工夫により、収益性の高い、全国に誇れる農産物が栽培されています。加えて、付加価値の高い県オリジナル品種の育成などにも積極的に取り組んでおり、高品質なさぬき讃フルーツや全国的にも珍しい野菜のオリジナル品種のアスパラガスさぬきのめざめなど、特色ある農産物が生まれております。私の地元の高松市でも、さぬきのめざめに将来性を見出し、新たに就農する方がおられます。これら特長のある農産物は、消費者や市場からの高い評価により需要が拡大し、これに伴い生産が拡大する好循環が生まれていると聞いております。
 こうした中、本県の高品質な野菜や果物の五割以上は、首都圏や京阪神地域の消費者に供給されており、これまでも知事みずからが首都圏などの大消費地でのトップセールスに取り組まれ、本県農産物のブランド力の強化に一定の成果が出ておりますが、さらに本県農産物のブランド力を高めるためには、まずは地元の県民の方に県産農産物のよさを理解してもらい、応援してもらえるような取り組みが重要ではないでしょうか。
 最近、県民の方から、「季節に関係なく、ほぼ一年中出荷される農産物がふえ、農産物の旬がわからなくなった」という声をよく聞くようになりました。一方、最近の研究成果では、旬のものはおいしいだけでなく、栄養価が高くなることが明らかになりつつあるとのことです。香川県では瀬戸内の気候を生かした四季折々の特色ある農産物が生産されており、県産農産物が最もおいしく、栄養も豊富な旬の時期に味わってもらえる機会をふやすべきではないでしょうか。
 また、少子高齢化の急速な進展により、人口減少に伴う市場規模の縮小が懸念されております。本県農業を持続的に発展させ、農業をもうかる産業へ成長させるためには、他産地との差別化により、消費者ニーズの多様化や高品質志向への変化に対応することが、ますます重要になると考えます。
 全国に誇れる特色ある本県オリジナル品種など、県産農産物について、農産物そのものの魅力に加え、消費者や実需者ニーズに対応して工夫を凝らしたブランド力の強化につながる商品づくりや販売戦略など、新たな視点からの取り組みも必要だと考えます。
 そこで、県産農産物のブランド力の強化について、今後、どのように取り組むのか、知事にお伺いいたします。
 質問の第八点は、地震・津波対策海岸堤防等整備事業についてであります。
 近年、毎年のように甚大な被害を及ぼす災害が全国で発生しており、先月の台風十九号では、関東甲信地方、東北地方を中心に広い範囲で記録的な大雨となり、神奈川県箱根では日降水量九百二十ミリを超え、国内観測史上最大を更新するなど、十三都県で大雨特別警報が発令され、百カ所を超える河川の堤防の決壊や八百件を超える土砂災害等により、約百名の死者・行方不明者が出る激甚な被害が発生したところであります。
 自由民主党では、先月二十九日、被災地の厳しい現状と当該地域の方々の切実な御意見等を踏まえ、被災者の生活やなりわいを再建するとともに、防災・減災対策を着実に講じ、国土強靱化を強力に進めることなどについて、政府への緊急申し入れを行ったところであります。
 また、水害に限らず、昨年発生した大阪府北部地震や北海道胆振東部地震などの地震災害も各地で頻発しており、改めて大規模災害への備えの重要性を再認識する必要があります。
 政府は、今年度の補正予算と来年度予算を一体編成し、大規模災害に備えていく方針のようであり、県において必要な国の予算をしっかりと確保し、災害に強い社会資本の整備を着実かつ早急に推進してもらいたいと考えております。
 さて、本県においては、今後三十年以内に発生する確率が七〇%から八〇%とされている南海トラフを震源とする地震・津波から県民の生命や財産を保護するために、海岸堤防や河川堤防における地震・津波対策を推進していく必要があります。特に、本県には国の現地対策本部が設置される高松サンポート合同庁舎を初め、防災拠点空港としての高松空港、四国最大規模の耐震強化岸壁を有する高松港や陸上自衛隊第十四旅団などが存在することから、四国の防災拠点としての機能も求められており、地震・津波対策は本県の重要課題であります。
 このため、県では、海岸堤防や河川堤防における地震・津波対策を効果的、効率的に推進するため、平成二十七年三月に地震・津波対策海岸堤防等整備計画を策定し、対策工事に取り組んでいるところであります。この整備計画では、整備が必要な箇所が県内全域に及ぶため、全体の計画期間をおおむね三十年間として、十年ごとのI期からIII期に区分して実施することとしております。そのうち、地震直後に堤防等が沈下し、甚大な被害が想定されるなど、特に優先度が高い箇所については、平成二十七年度から令和六年度までのI期計画の前半五年間で早急に整備することとされており、そのI期前期計画が、今年度最終年度となっております。
 そこで、特に対策の実施が急がれるI期前期計画の進捗状況がどのようになっているのか、知事にお伺いいたします。
 また、いつ発生するともわからない巨大な地震・津波から県民の生命や財産を守るため、着実かつ早急に対策工事を進めることが大変重要であります。今後、どのように進めていくのか、あわせてお伺いいたします。
 質問の第九点は、文化財の保存と活用についてであります。
 文化財は、さまざまな時代背景の中で、人々の生活や風土とのかかわりにおいて生み出され、現在まで守り伝えられてきた貴重な財産であり、文化財を確実に次世代に継承していくことは、我々の役目であると考えます。しかし、近年、社会状況は急激に変化し、過疎化・少子高齢化の進行により地域の衰退が懸念されている中、豊かな伝統や文化は消滅の危機に直面しており、また文化財の継承の担い手の不足により、散逸・消滅すると指摘されております。
 このような中、改正文化財保護法が本年四月に施行され、これからの文化財保護行政が、保存中心から、しっかりとした保存のもと、魅力あふれるまちづくりや地域の活性化にも積極的に活用するという新たな方向性が示されたものと思われます。
 県内には史跡天然記念物に指定されている屋島、重要文化財指定の建造物や円山応挙などの絵画を多数所蔵する金刀比羅宮などは、既に主要な観光地となっています。
 その観光地の一つに、国の特別名勝に指定されている栗林公園があります。栗林公園は借景となる紫雲山と、さまざまな樹木や池、四季の草花などの自然、掬月亭、旧日暮亭などの建造物が調和した回遊式大名庭園で、春と秋のライトアップ、和船での舟遊びなど、積極的な活用により、国内外から年間七十万人を超える観光客が訪れております。
 栗林公園や屋島、金刀比羅宮などは、それぞれの魅力を生かして地域の観光資源としての活用を積極的に進めておりますが、これら以外にも、香川県には潜在的な魅力を持つ多数の文化財があります。日ごろから文化財の歴史的・文化的な価値を守り、また、利用者の安全を確保するしっかりとした維持・管理を行うとともに、さらに磨き上げることで、文化財を観光資源として活用することができるものと考えます。
 一方で、せんだっての沖縄首里城での大規模火災は、国内外に大きな衝撃を与えました。県内においても、昨年七月の西日本豪雨や九月のたび重なる台風などにより、丸亀城の石垣崩落や建造物のしっくい剥落など、県内の重要文化財が大きく被害を受けました。また、今後三十年以内に南海トラフ地震も七〇%から八〇%の確率で発生するとの予想があり、文化財を維持するための通常の修理とともに、このような自然災害などに対しての対策、また、その予防をしっかりと実施していく必要があります。
 そこで、文化財保護法が改正され、今後、文化財保護行政が新たな局面を迎える中、県教育委員会として、県内の文化財の保存と活用について、今後、どのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いいたします。
 以上で、香川県議会自由民主党議員会を代表しての質問を終わります。

平成21年2月定例会

 私は、ただいまから香川県議会自由民主党議員会を代表して、当面する県政の諸課題について、知事並びに警察本部長にお伺いいたします。
 質問に先立ちまして、一言申し述べたいと思います。
 今、百年に一度の恐慌と言われる金融危機により、世界の経済・金融市場は大きく混乱し、欧米や日本といった先進国のみならず、アジアなどの新興国においても、経済は深く長い不況のトンネルに迷いつつあります。
 これまでも我が国は、バブル崩壊や幾たびかの円高といった厳しい時代を経験し、その都度、政府・与党が対策を講じ、乗り切ってきたところであります。現在の苦境を克服し、経済の再生を果たすためには、地方の活力を高めていくことが最も重要な手段の一つであると考えられます。そのためには、権限・財源の地方への移譲とともに、大都市圏と地方との格差や地域間の格差の是正が必要であります。とりわけ四国地域は、経済基盤が脆弱で疲弊の度合いが強く、格差を解消するための施策が不可欠であります。
 このような中、現在の我が国経済の危機的な状況から脱出するため、政府・日銀は総額七十五兆円の景気対策を打ち出しておりますが、実体経済の悪化は予想を超える速度で進んでおります。あらゆる対策を切れ目なく実行する必要があります。
 多くの国民は、一日も早い景気の回復を願っております。我が香川県においても、国との連携のもと、諸課題の解決と県経済の活性化に引き続き全力で取り組んでいかなければならないと決意を新たにしているところであります。
 以上、申し述べまして質問に入ります。
 質問の第一点は、平成二十一年度当初予算についてであります。
 政府は、我が国の経済・雇用情勢の急速な悪化に対応するため、当面は景気対策という方針のもと、第一次補正予算以降、第二次補正予算、平成二十一年度予算と、切れ目のない景気対策を講じようとしています。
 本県においても経済状況や県民生活は、かつてない厳しいものとなっており、これに対応するため、さきの臨時会において百三十五億円規模の補正予算が成立したところであります。
 今定例会に提案された平成二十一年度当初予算を見ますと、一般会計予算の歳出は四千百九十億円余と、本年度に比べ二・一%の減少で、予算規模は八年連続のマイナスとなっています。歳入については、景気後退を反映して、県税収入は本年度に比べ二百十四億円、一六・六%の大幅な減少、地方交付税は本年度に比べ六十六億円、六・五%の減少となっております。逆に、借金である臨時財政対策債は四百四十四億円で、本年度に比べ二倍を超える大幅な増加になるなど、財政状況は一層厳しさを増しています。一たん黒字化を達成したプライマリーバランスは、臨時財政対策債の大幅な増額により、再び赤字に転じています。
 現下の厳しい社会経済情勢からすれば、経済・雇用対策など地域と経済の活性化が最も求められている今こそ、積極的な対策を講じることが最優先であることは申し上げるまでもありません。しかし、その一方で、財政再建も同時に推進しなければならず、難しいかじ取りが求められています。平成二十一年度は、新たな財政再建方策の中間年に当たりますが、厳しい財政環境の中、「地域と経済の活性化」と「財政再建」をどのようにバランスをとっていくのか、また、財政再建方策のどの部分を堅持していくのか、確固たるビジョンを持って今後の財政運営に当たらなければなりません。
 そこで、平成二十一年度当初予算について、どのような思いで予算編成をしたのか、知事にお伺いします。
 また、厳しい財政状況のもと、中長期的な財政見通しと財政再建方策の見直しについての考え方をあわせてお伺いいたします。
 質問の第二点は、地方交付税制度についてであります。
 地方交付税は、本県の一般会計歳入総額の約四分の一を占める主要な一般財源であります。国の平成二十一年度予算案では、麻生首相の指示により、生活防衛のための緊急対策に基づく雇用創出や地域の元気回復の財源として、地方交付税の総額が本年度に比べ四千百億円余増加していますが、全体調整の中で本県においては六十六億円減少する見込みです。
 地方交付税は、所得税、法人税等の一定率を充てることとされていますが、近年の景気の悪化などにより毎年財源不足が生じています。このため、法定率の若干の引き上げなどもなされてきましたが、到底抜本対策と言えるものではなく、加えて平成十三年度から導入された臨時財政対策債は、その元利償還金を国が全額地方交付税で措置という地方交付税の代替的なものではありますが、あくまでも赤字地方債です。
 本県の地方交付税は、当初予算ベースで見ると、税源移譲の影響はあるものの、十年前の平成十一年度に比べ四百五十五億円、三二・五%の減少となっています。国が景気対策や税の政策減免、さらには財政対策等のため後年度において財源措置すると約束した地方交付税措置額が、算定上は今後大幅に増額することが見込まれますが、実際には、地方交付税は景気の悪化などに伴い、今後さらに減少することが予想されます。マクロベースで見ると、地方交付税の法定率分の財源が十分でないため、地方では臨時財政対策債の借金を返すために新たな臨時財政対策債により借金をするという、返済を先送りしているようなものです。地方交付税の算定方式も不明瞭です。
 一方、本県の県債残高は、平成二十一年度から減少に転ずるよう県債の発行を抑制してきましたが、平成二十年度に創設された地方再生対策費による財源措置が臨時財政対策債により行われたことで一年おくれ、二十二年度から減少するとの現在の見込みも、さらに先送りとなることは明らかであります。
 我が国が未曾有の世界不況から脱出し、安心して暮らせる活力ある社会を実現するためには、地方の活力を高め、強い地方を創出することが求められています。しかし、現在の地方財政制度のままでは、今後さらに地方交付税が減少することが見込まれ、住民に最低限の行政サービスを提供することもできなくなるという事態になりかねません。地方交付税は地方自治体の安定的な財政運営に資するものでなければなりません。
 そこで、現在の地方交付税制度の問題点についてどのように認識し、また、地方自治体の安定的な財政運営の確保という視点から、制度の見直しにどのように取り組むのか、知事のお考えをお伺いします。
 質問の第三点は、経済・雇用対策についてであります。
 世界的な金融危機と不況の拡大という大波は本県にも押し寄せ、深刻な影響が出始めております。こうした状況に対応するため、昨年末、県は総合的な経済・雇用対策を実施するため、真鍋知事を本部長とする経済・雇用緊急対策本部を設置しました。県民は、地域経済の活性化と雇用対策に大きな期待を寄せております。
 以下、経済・雇用対策について、二点にわたり知事のお考えをお伺いします。
 その第一は、県経済の活性化についてであります。
 先月、日銀は金融政策決定会合において、平成二十年度と二十一年度の実質経済成長予想を、それぞれマイナス一・八%、マイナス二・〇%に大幅下方修正することを決めました。この結果、戦後最悪だった平成十年度のマイナス一・五%を二年連続で下回ることになり、金融危機による不況が深刻化していることを示しました。
 それを裏づけるように、先日、内閣府が発表した昨年十月から十二月期の国内総生産の実質成長率は、年率換算で一二・七%のマイナスとなり、戦後二番目、三十五年ぶりの下げ幅となりました。失業に対する不安が個人消費を低迷させ、それが一段の企業業績の悪化につながるという、いわゆる負の連鎖に既に陥っているとの見方すら出ております。
 一方、県内企業の生産動向を見ますと、国内外の急速な需要減退を受けて、景気後退の影響が製造業を中心に拡大しており、ほとんどすべての業種で収益の悪化が見込まれております。
 民間信用調査会社によりますと、平成二十年における企業倒産件数は、負債額一千万円以上では前年比十五件増の九十一件、負債総額は前年の二・四倍の三百十八億円余となっており、倒産件数、負債総額いずれも増加しております。こうした状況を打開し、本県経済の活性化を図るため、県としてなし得るあらゆる手だてを早急に、かつ継続して講ずる必要があります。
 そこで、本県経済の活性化を図るため、どのようなビジョンを持ち、今後どう取り組んでいくのか、お伺いします。
 あわせて、数値目標についてどのようにお考えなのか、お伺いします。
 その第二は、雇用の維持・創出についてであります。
 今回の金融危機により、不況の波は数多くの業種に及び、その影響は減産から雇用調整へとますます深刻になっております。派遣や契約期間労働のいわゆる非正規労働者の雇いどめに始まり、現在では正規労働者の削減にまで及んでおります。今後、雇用の悪化が一層深刻になるのではないかと懸念されます。
 こうした状況の中、先月末、製造業への派遣・請負会社でつくる業界団体は、我が党本部の労働者派遣問題研究会に出席して、昨年秋から来月末までの約半年間に、製造業で派遣や請負社員ら非正規労働者四十万人が失職する可能性があるとの見通しを示しました。
 一方、本県においても、香川労働局の先月末の発表によれば、昨年十月から来月までの間で、県内の非正規労働者の雇いどめが十二件、四百人になることが判明しており、また、新規内定取り消しについては、県内の事業所で十三人発生しております。さらに、先週には新たに約百八十人の雇いどめが明らかになるなど、今後さらに増加するおそれがあります。
 当面は、救済的な雇用対策を迅速に講ずるのは当然でありますが、さらに一歩踏み込んで中長期的な視点に立って、県経済の活性化につながるような安定した雇用の創出に取り組むことが何よりも重要であります。
 麻生首相は、先月二十八日の施政方針演説において、国から都道府県への交付金を活用することなどにより、今後三年間で百六十万人の雇用創出を図ることを打ち出しております。今回の国の雇用対策を有効に活用することはもとよりですが、これに加えて、本県の実情に合った独自の取り組みをすべきであります。担い手不足や雇用のミスマッチが生じている分野での就労につながる支援を、県を挙げて重点的かつ積極的に行う必要があると考えます。
 そこで、雇用の維持・創出に短期的また中長期的にどのように取り組むのか、どの程度雇用の拡大を図ろうとしているのか、お伺いいたします。
 質問の第四点は、地方分権改革についてであります。
 平成十八年に地方分権改革推進法が成立し、第二期地方分権改革が進められています。この改革は、「地方が主役の国づくり」を目指し、だれもが住みなれた地域で生き生きと暮らしていける社会をつくるため、国と地方の役割分担を一から見直すなど、国のあり方そのものをつくりかえる重要な改革であります。この改革が目指すところは、地方自治体を自治立法権、自治行政権、自治財政権を備えた完全自治体としていくとともに、住民意思をより反映させるための地方政府を確立することであります。
 政府の地方分権改革推進委員会は、昨年五月の第一次勧告に続き、十二月八日に第二次勧告を取りまとめ、麻生首相に提出しました。第二次勧告では、地方農政局や地方整備局など六つの出先機関を統廃合し、新たに地方振興局と地方工務局を設けることや、出先機関の職員を三万五千人程度削減することなどが柱となっています。国の関係省庁の強い抵抗によって、完全な廃止は一機関にとどまり、大半の業務は新組織に残るほか、地方への権限移譲は限定的であるなど、改革は大きく後退した感があります。さらに、巨大な新組織の設置は、地方分権に逆行し、新たな中央集権が進むおそれすらあります。
 さきの三位一体改革においては、国の大幅な関与を残したまま、国庫補助負担率の引き下げや地方交付税の大幅な削減が行われ、地方財政が危機的な状況に陥る原因となりました。国の財政再建が優先され、地方には負担のみが押しつけられたとの思いがあります。真の地方政府を確立するためには多くの課題が残されており、今後も関係省庁の抵抗が予想される中、地方分権改革は、かけ声倒れに終わるのではないかと強く危惧されます。
 推進委員会は、今春にも予定されている第三次勧告で、国と地方の財政関係や地域間における財政格差の是正など、税財政構造の構築等に関する勧告を行う予定となっています。財源問題は改革の最大の山場です。臨時財政対策債のように借金の先送りにすぎないものではなく、税源移譲による真の地方財政が確保されなければ、地方が立ち行かなくなることは明白であります。地方の意見が十分に反映された改革となるよう、とりわけ地方の税財源のあり方について、今まで以上に国への強力な働きかけをしていく必要があります。
 また、自立力の高い地域づくりには、核となる産業や企業の集積が不可欠であります。このためには、国の施策として、地方への本社や工場の立地・移転に対する手厚い優遇措置を講ずることによって、日本全国に自立力の高い地域を創出するぐらいのことをしないと、道州制や地域主権は成立しないと思います。
 そこで、地方分権改革に向け、今後どのように取り組むのか、知事のお考えをお伺いします。
 質問の第五点は、文化芸術の振興についてであります。
 県では、県民一人一人が心の豊かさと潤いを実感できる活力ある香川の実現を目指し、一昨年、いわゆる文化芸術振興条例を制定しました。そして、昨年を文化振興元年と位置づけ、平成二十四年度までを計画期間とする香川県文化芸術振興計画を策定しました。
 この計画の中で位置づけられた戦略的重点事業を見ますと、平成二十一年度の高松国際ピアノコンクール、平成二十二年度の瀬戸内国際芸術祭など、華やかなイベントが続く計画になっています。一方、イベント以外の取り組みとして、四国八十八カ所霊場と遍路道の世界遺産登録や香川漆芸の振興といった継続的に実施していかなければならない事業もあります。
 そこで、以下二点にわたり知事のお考えをお伺いします。
 その第一は、四国八十八カ所霊場と遍路道の世界遺産登録についてであります。
 昨年九月の文化庁の審議結果によりますと、残念ながら四国八十八カ所霊場と遍路道の世界遺産暫定リストへの記載は見送られたものの、記載されなかった資産の中では最も高いランクの評価を得ました。四国遍路は、四国を全周して弘法大師ゆかりの八十八カ所の霊場をめぐる全長千四百キロメートルにも及ぶ壮大な寺院巡礼であり、遍路のもととなる思想・信仰、実践する場、それをお接待などで支える地域社会、これら三者が一体となって、千年を超えて今に継承されている生きた文化遺産であります。このような遍路文化は、日本国内ばかりか世界的に見ても類のないものであり、将来の世代へ引き継いでいくべき価値を持つ世界文化遺産にふさわしいものであります。
 世界遺産登録は、登録それ自体を目的とすべきではありません。より重要なことは、登録に向けた一連の活動を通じて我々みずからがこの遺産に対する認識を深め、愛着と誇りを新たにすることであります。同時に、国内外に広く情報を発信することにより、観光客を誘致することで地域の活性化を図るということであります。今後は、文化庁から指摘された課題を踏まえ、関係する県や市町、寺院等とも連携しながら、引き続き登録に向けて取り組む必要があります。
 そこで、世界遺産登録に向けて今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いします。
 その第二は、香川漆芸の振興についてであります。
 漆芸研究所は、本年四月に現在の文化会館に移転開所されると伺っております。本県の漆芸は全国的に有名であり、特に蒟醤、存清、彫漆は本県の伝統的な工芸であります。本県には、いわゆる人間国宝を初め多くのすぐれた漆芸作家や技術者がおられます。漆芸研究所は、漆芸を教える施設としては全国で最も早い昭和二十九年に設置され、本県の伝統漆芸や人間国宝の技法を継承する人材の育成を初め、漆芸業界で活躍する技術者の養成を行ってきました。現在の漆芸王国・香川の地歩を築いたのは、漆器製作の後継者を養成してきた漆芸研究所に負うところが大きいと言えます。
 今回の移転を機に、香川漆芸をさらに発展させるとともに、香川漆器のよさを国内はもとより海外にも積極的に情報発信するなどして、香川漆芸の一層の振興を図る必要があると考えます。
 そこで、移転後の漆芸研究所の機能を含め、香川漆芸の振興にどのように取り組むのか、お伺いします。
 質問の第六点は、国際交流の推進についてであります。
 本県は、中国の陝西省を初めとして、南米各国の県人会とも長年にわたり交流を続けており、相互理解や県民の国際感覚の涵養に一定の成果を上げております。本年一月には、平成十七年から旧三野町が交流を続けてきた陝西省三原県と三豊市が友好都市交流覚書に調印するなど、その輪が広がっているところであります。
 また、昨年は、ブラジル日本人移民百周年に当たり、真鍋知事、松本議長を初めとする訪問団がブラジル、アルゼンチンを訪れ、現地の県人会の方々と交流を深めたところであります。県人会の方々は、香川県を母国ならぬ母県という意識を持っておられます。その思いにこたえるべく、毎年南米各国から研修生を受け入れており、その研修制度が高く評価されていると伺っております。引き続き、南米との交流を深めていく必要があると思います。
 しかしながら、現状においては、多くの県民が国際交流に積極的に参加したり、相互にメリットを享受する段階にまでは至っていないのではないでしょうか。
 そのような中、本年は、陝西省との友好県省提携から十五周年となる節目の年であります。この友好県省提携が実現したのは、日中国交正常化十周年を記念した空海記念碑の建立以来、瀬戸大橋記念博や全国植樹祭、青龍寺遺跡庭園の建設など、さまざまな機会をとらえ多くの人々が交流を重ねてきた成果であります。友好県省提携を結んでからは、相互理解と友好を一層深めることを目的に、経済、文化、教育、スポーツなどの各分野において交流を深めてまいりました。
 しかし、最近においては、国際交流員や技術研修員の受け入れなどの人的交流、あるいは雑伎芸術団受け入れや麺交流団派遣などの文化交流に比べると、経済、青少年、スポーツといった分野での交流は、やや先細りの状況にあります。言うまでもなく、国際交流においては、継続して活動することが何よりも重要であります。先人たちの努力に思いをいたし、これまで積み上げてきた友好と信頼の相互交流をさらに発展させていく努力が必要であります。
 そこで、陝西省との友好県省提携十五周年記念事業も含め、今後、南米や中国を初めとする国際交流の推進にどのように取り組むのか、知事のお考えをお伺いします。
 質問の第七点は、県産品の販路開拓に向けた経済戦略についてであります。
 世界的な金融危機により、我が国経済の先行きが不安視される現在、より強固で将来にわたり持続可能な経済基盤を構築していくためには、これまでにも増して地域産業の振興に向けた取り組みが不可欠となっており、我が香川としても幅広く取り組む必要があると考えます。
 そこで、以下二点にわたり知事のお考えをお伺いします。
 その第一点は、本県と距離的にも近く、経済面でかかわりの強い関西圏への販路開拓についてであります。
 現在、首都圏では、本県のアンテナショップとして平成十五年三月にオープンした香川・愛媛せとうち旬彩館において、県産品の展示や郷土料理の提供、観光情報の発信を通じ、県産品の販路拡大や知名度の向上、香川のイメージアップに取り組んでおり、売上高、利用者数ともに順調に推移していると伺っております。
 一方、関西圏は、主要な県産品の最大の県外出荷先でありますが、いま一つ知名度が上がっていないのではないでしょうか。また、すぐれた県産品が多くあるものの、それぞれの生産量が少ないという中で、今後は効果的なPRや売り込みが必要になってくると考えます。人口約二千万人を擁し、GDP約八十兆円と言われる関西圏は、本県にとって極めて重要な経済圏域であります。したがって、関西圏でいかにして販路を拡大するかは大きな課題であります。
 今後、県産品の販路開拓や観光・食文化の情報発信等の面で、より効果を上げる方策の一つとして、せとうち旬彩館のようなアンテナショップを設けてはどうでしょうか。その際、本県単独ではなく、他県と共同して出店できれば相乗効果のメリットが期待できます。
 言うまでもなく、アンテナショップの本来の設置目的は、売り上げそれ自体ではなく、消費者の反応を商品開発に反映させることにあります。また、百貨店や食材納入業者あるいはレストラン等の関係者を招いて県産品のPRを行うなど、売り込みの拠点として活用することもでき、その利用価値は大きいものがあります。
 そこで、関西圏におけるアンテナショップの新設を含め、県産品の販路開拓について今後どのように取り組むのか、お伺いします。
 その第二は、海外への販路拡大に関しての商標登録問題への対応についてであります。
 先般、本県で開催された四国四県の知事会談において、本年九月をめどに上海に四県共同のアンテナショップを設置する考えが示されました。設置期間は半年間で、農水産物や調味料、地酒など、四県の特産品を現地の事業者等へPRするとともに、中国の市場調査の拠点としても活用し、将来の販路開拓につなげたいということであります。
 このように、海外への販路拡大は重要な課題となってきております。しかしながら、近年、海外においては、我が国の地名や地域ブランド等が第三者によって商標登録される事例が相次いでおり、海外での販路開拓を進める各自治体は、地名が海外において商標登録される問題に苦慮しております。
 本県でも、昨年、台湾において「讃岐」などの名称をめぐって商標登録の問題が発生していることから、今後、海外への販路拡大を行おうとする県内事業者がトラブルに巻き込まれることのないよう、早期の対策が強く求められております。
 昨年六月定例会の我が党の代表質問に対して、知事からは「海外における地名の商標登録問題等に対応するため、各事業者団体の意見も聞きながら、県における知的財産の活用方策等を知的財産推進プログラムとして取りまとめる」との答弁がありました。その後、県では、関係部局が連携して、県内の関係機関や弁理士などから成る有識者会議の意見を聞きながら、全庁挙げて検討を行っていると伺っております。
 そこで、知的財産推進プログラムの策定状況も含め、海外への販路拡大に際しての商標登録問題についてどのように対応していくのか、お伺いします。
 質問の第八点は、観光振興の取り組みについてであります。
 その第一は、にぎわいの創出についてであります。
 本年は〇九香川まちめぐり「てくてくさぬき」、平成二十二年度には瀬戸内国際芸術祭の開催が予定されております。
 まず、「てくてくさぬき」については、この四月から春、夏、秋の三期に分けて、その季節ごとに基本テーマを設定するとともに、各テーマに基づくキャンペーン期間を設定し、効果的な集客を図ることとしております。
 しかしながら、観光については、地域間競争が激化していることに加え、観光客のニーズも多様化していることから、地域資源の積極的な活用や、一過性とならない魅力づくりが何よりも重要であります。
 こうした中、本州四国連絡道路を含めた高速道路の料金を大幅に引き下げる国の第二次補正予算が先月成立したことから、観光客誘致に向けての起爆剤になるものと大いに期待しております。
 そこで、「てくてくさぬき」の開催に当たって、新たな滞在型観光ニーズを掘り起こすため、具体的にどのように取り組むのか、知事にお伺いします。
 あわせて、開催に向けての広報活動の取り組みについてお伺いします。
 また、平成二十二年度に開催予定の瀬戸内国際芸術祭については、玄関口である高松港周辺と七つの島々を会場に、さまざまなアートプロジェクトや各種イベントが実施されることとなっております。本芸術祭には、国内はもとより、海外からの観光客の来場も予想されることから、瀬戸内海のすばらしい景観を世界に発信する絶好の機会であります。
 二十一年度はプレイベントも予定されているなど、本芸術祭開催に向けての取り組みが本格化することから、県は市町と一体となった推進体制の強化や情報発信、交通アクセス整備等に早急に取り組む必要があると考えます。
 そこで、本芸術祭開催に向けた推進体制の強化について、知事のお考えをお伺いします。
 また、あわせて、広報や交通対策について今後どのように取り組むのか、お伺いします。
 その第二は、栗林公園の活性化についてであります。
 国の特別名勝に指定されている栗林公園は、兼六園など、いわゆる日本三名園をしのぐ我が国を代表する庭園であり、「一歩一景」と称される変化に富んだ美しい庭園に対する県民の思いは特別なものがあります。この栗林公園に、いかにしてより多くの人々に訪れてもらい、さらに県内各地に足を延ばしてもらうか、また、それによって地域の活性化にどうつなげていくかということは、本県の観光振興を図る上での最重要課題であります。
 最近は、春・秋のライトアップやさまざまなイベントの開催により、入園者数は六十万人を超える水準で推移しておりますが、瀬戸大橋が開通する前の百三十万人には遠く及ばない状況であります。また、昨今の経済情勢等を考えた場合、入園者の維持・増加は容易ではありません。よほどインパクトのある誘致策を講じなければ、入園者も次第に減少に転ずるのではないかと危惧するものであります。
 独立行政法人国際観光振興機構が海外のメディアやエージェントに提供しているフォトライブラリーのアクセス数を見ると、京都の圓光寺や富士山などに次いで栗林公園が第四位となっております。外国人の関心が高いのは非常に喜ばしく、また、誇りにも思いますが、実際の入園につながる具体的な働きかけが必要であります。例えば、園内での結婚式を可能にしたり、南湖に屋形船を浮かべての茶の湯や季節の料理を提供したり、また、独創的なPRの実施や、美術館を初めとする他の観光資源と連携したネットワーク型の取り組みも必要ではないでしょうか。
 そこで、こうした新たな取り組みについてどのようなお考えをお持ちなのか、知事にお伺いします。
 ところで、私は旅行業者等から物産販売の充実を求める声をよく聞きます。現在、商工奨励館における物産販売については県物産協会が行っていますが、いかんせん建物が老朽化していることもあって、早急にその充実を図る必要があります。
 もちろん、県財政が厳しい折、財政再建方策の中で、箱物整備については平成二十二年度まで凍結ということは十分承知しております。しかしながら、栗林公園の周辺を見たとき、土産店のほとんどが閉店するなど、状況は大きく変化していることから、県外観光客のニーズにこたえるためにも、物産販売の充実に向けて検討すべき時期に来ていると考えます。
 そこで、物産販売棟の整備を含め、商工奨励館のあり方について知事のお考えをお伺いします。
 その第三は、広域観光の推進についてであります。
 近年、旅行形態は団体旅行から少人数旅行へと変化するとともに、観光ニーズの多様化に伴い、多種多様な観光ルートの設定が求められるようになっております。
 こうした中、平成十七年に九州七県を対象とする九州観光推進機構が設立されました。また、平成十九年には、東北六県と新潟県を対象とする東北観光推進機構が、さらに昨年は北海道観光振興機構が設立されるなど、各地域において有力企業を巻き込んだ組織が相次いで立ち上がってきております。
 一方、四国四県においては、平成五年に「四国は一つ」を合い言葉に四国観光立県推進協議会を広域での観光推進団体として全国に先駆けて立ち上げ、観光振興に取り組んでいるところであります。
 国においては、昨年十月、観光庁を発足させ、観光立国の実現を図ることが我が国の経済社会の発展に不可欠な課題であるとしております。地域間競争が激化する中、四国四県においても地域経済の活性化を図るためには、早急に推進体制の強化を図り、広域観光に取り組む必要があると考えます。
 そこで、四国観光立県推進協議会の組織強化も含め、広域観光の推進に向けて今後どのように取り組むのか、知事のお考えをお伺いします。
 質問の第九点は、県内建設業への対策についてであります。
 本県の建設業は、社会資本整備の直接の担い手であり、同時に地域の雇用を担い、地域経済を支えてきました。また、台風等の災害時には応急対応で地域に大きく貢献してきました。このように建設業がこれまで地域において果たしてきた役割については、だれもが認めるところであります。
 しかし、厳しい財政状況の中で、例えば県土木部の公共事業費が平成十年のピーク時からほぼ三分の一になっているように、公共事業費は大幅に減ってきております。景気の低迷などにより、地方における民間事業も少なくなりました。一方で、事業者数は一割程度しか減少しておりません。その結果、過当な競争の中で中小建設業者の経営は非常に厳しい状況に置かれています。さらに、経済・金融の世界的な異常事態が重なり、建設業界はまさに危機的な状況にあります。
 このような状況への対応は、一義的には事業者や業界団体がみずから取り組むべきことはもちろんでありますが、一方で、県の経済や雇用に対する影響、さらには災害時の対応を考えますと、県としてこのまま成り行きに任せるということでよいのでしょうか。
 円滑な建設工事の執行は、高度な技術力を持った技術者、熟練したオペレーターや作業員といった人材がそろって初めて可能となるものであります。人材を有し信頼できる建設業者を県内の地域バランスも考慮しながら確保する必要があると考えます。
 公共事業が大幅に減ったといっても、必要な事業がなくなったわけではありません。例えば、学校を初めとする公共施設の耐震化や高潮対策事業など、真に必要で早急な対応が求められる事業も多く存在するのであります。
 さきの臨時会においては、経済・雇用緊急対策として高潮対策等の公共事業費の増額補正がなされたところでありますが、継続的に対応する必要があることから、来年度当初予算案に計上されている事業についても早期発注に努めるなど、建設業者が切れ目なくその事業活動が継続できるような対策を講ずる必要があるのではないでしょうか。
 同時に、現在の社会経済環境に即して、業種転換や新分野進出などを図ろうとする建設業者に対する支援も必要であると考えます。
 そこで、県内建設業への対策についてどのように取り組むのか、知事のお考えをお伺いします。
 質問の第十点は、内海ダム再開発事業についてであります。
 内海ダム再開発事業については、去る二月六日に国が土地収用法に基づく事業認定を行いました。これは事業の合理性、公益性を国が改めて認めたものであり、事業を進める県や地元とともに、その必要性を訴えてきた我が党の主張の正当性が認められたと評価できるものであり、事業は新たな段階へとステップアップしたと受けとめております。
 この事業については、これまで地元の住民を初め産業界などから、国はもとより県並びに県議会に対して何度も強い建設促進の要望がなされてまいりました。また、現在、国会において審議されている政府の来年度予算案には、内海ダム本体工事に関する経費の一部が盛り込まれております。
 事業がおくれれば、災害発生の危険や渇水によって、島の主力産業である観光や地場産業への影響が懸念されます。島民のほとんどが一日も早いダムの完成を待ち望んでいるのではないでしょうか。このたびの事業認定を弾みに、事業を着実に推進すべきであると考えます。
 そこで、今後、内海ダムの再開発事業をどのように進めていくのか、そのスケジュールを含め、事業推進に向けた知事の決意をお伺いします。
 質問の第十一点は、薬物取り締まりの強化についてであります。
 最近の全国的な薬物情勢を見ますと、覚せい剤による検挙人数は減少傾向にあるものの、依然として全薬物犯罪の検挙人数の八割を占めており、覚せい剤が薬物問題の中心である状況が続いております。また、大麻による検挙人数は十年前の約二倍に増加しているほか、若者を中心にMDMA等の合成麻薬の使用が広がっています。さらに、携帯電話やインターネットの急速な普及により、これらを利用した密売方法がより巧妙化し、乱用者が薬物を入手しやすい環境になってきております。
 本県においても、密売や乱用されている薬物の主流は覚せい剤であります。昨年の覚せい剤による検挙人数は七十四人と、平成十九年から二十九人減少しているものの、薬物犯罪の六割を占めている状況であります。
 また、大麻による検挙人数が前年から三倍増の三十六人となり、薬物犯罪の三割を占めるまでになっております。大麻は、他の薬物に手を出す入り口になるという意味で「ゲートウエイ・ドラッグ」とも呼ばれており、繰り返し使用すると、何事も怠けてしまう無動機症候群になったり、記憶力の低下をもたらす危険な薬であります。ところが、覚せい剤などに比べて依存性が低いので安全であるとの誤った情報が流布されていることや、インターネットを利用した通信販売により、種子や栽培器具が簡単に入手できることなどから、大学生など若者の間に使用が広がっております。
 昨年検挙された三十六人のうち約六割が二十歳代以下の若者でした。昨年七月には、さぬき市で十五歳の少女が自宅のアパートで大麻を栽培しているのが見つかり、交際相手の男性とともに逮捕されております。決して都会だけの現象ではないのです。
 薬物乱用の弊害は、乱用者自身の精神や身体上の問題にとどまらず、家庭内暴力などによる家庭の崩壊、さらには殺人、放火など悲惨な事件の原因となることであります。社会全体へ及ぼす影響は大きく、薬物取り締まりの強化は喫緊の課題であります。
 そこで、今後どのように薬物取り締まりを強化していくのか、警察本部長のお考えをお伺いします。
 質問の第十二点は、子供や女性に対する犯罪の未然防止についてであります。
 最近、舞鶴市の女子高校生殺人事件や千葉県東金市の女児殺人事件など、全国的に子供や女性が被害者となる痛ましい事件が続発しております。力の弱い子供や女性をねらう犯罪は、何の罪もない被害者とその家族の平穏な生活を突然破壊するだけでなく、事件のあった地域の住民にも著しい不安感を生じさせるものであり、未然防止と徹底検挙が強く望まれるところであります。
 悪質な性犯罪等が起きる前には、その地域においてしばしば不審者やストーカーが確認されており、他県では、つきまとい行為などがエスカレートしてストーカー殺人にまで及んだ例もあります。つきまとい行為の段階で何らかの手だてがとられていれば重大な犯罪にまで至らなかった可能性もあるのです。
 警察庁では、悪質な性犯罪等の前兆であるつきまとい行為や声かけ事案などの対策を強化し、法令違反がなくなっても積極的な注意や警告で犯罪を未然に防止することを目的として、来年度から全国の警察本部に専従対策班を設置することを決定しました。地方警察官が九百五十九人増員され、そのうち七百七十七人が専従対策班に充てられると聞いております。
 本県においては、性犯罪の被害件数は横ばいの状況でありますが、子供に対する声かけ事案は増加傾向にあります。現在、県警のメールマガジンを使った地域の不審者情報の発信、防犯ボランティア団体による青色パトロールカーの運行や通学路の見守り活動など、官民一体となったさまざまな対策がとられてはおりますが、声かけをする不審者がいつか犯罪を起こすのではないかという不安感を払拭することは容易なことではありません。
 不審者情報が寄せられた場合、警察が重点的に対応してくれることがわかれば、県民に安心感を与えるだけでなく、犯罪を起こそうとする者に対して強い抑止効果が期待できます。事件の摘発はもちろんでありますが、それにも増して被害者を出さないことが第一であり、犯罪の未然防止を図ることが極めて重要であります。
 そこで、専従対策班の設置を含め、子供や女性に対する犯罪の未然防止に向け、どのように取り組んでいくのか、警察本部長のお考えをお伺いします。
 以上、香川県議会自由民主党議員会を代表しての質問を終わります。

平成20年2月定例会

私は、ただいまから香川県議会自由民主党議員会を代表して、当面する県政の諸課題について、知事並びに警察本部長にお伺いいたします。
 質問に先立ちまして、一言申し述べたいと思います。
 現在、県議会では、観光産業の振興を図るために組織の整備を進めております。我が香川県議会では、昨年十月、香川県を初め四国の観光振興に貢献することを目的に、全議員参加のもと、香川県議会観光議員連盟を設立いたしました。さらに、本年五月には、四国四県観光議員連盟を立ち上げ、四県が連携して国内外に向けた観光客誘致に取り組むとともに、四国地域の活性化とさらなる広域交流を目指すことにしています。全国組織としては、既に都道府県観光産業振興議員連盟があり、国会議員有志から成る国会の議員連盟と連携して、各種の活動を展開してきたところであります。一方、政府においては、本年十月、観光庁を発足させ、国の観光行政を総合的に進める体制を整える予定と聞いています。
 平成十七年度に、国内外の観光客が日本国内で飲食、宿泊等で消費した金額は約二十四兆円で、これは自動車最大手のトヨタグループの年間売上高に匹敵する額であります。中でも注目されるのは、訪日外国人旅行者の動向です。四国観光振興機構によりますと、昨年一年間に日本を訪れた外国人旅行者は前年比一四%増加の約八百三十五万人と、初めて八百万人を超えました。日本の文化や自然、和食に対する関心の高まりが理由であると考えます。訪日外国人の旅行消費額は一兆六千億円と言われ、株安や円高で景気減速感が強まる中、景気対策としての期待が膨らみます。
 最近、ある新聞社が行った日本人の国家観に関する世論調査で、日本国民であることを誇りに思う人は九三%に上り、誇りに思う内容は、歴史、伝統、文化が最も多く、国土や自然、社会の安定・治安、国民性などがこれに続くという結果が出ています。訪れる外国人旅行者に対して、日本人みずからが誇りに思う日本を十分に味わってもらおうとすることが、さらなる外国人観光客の誘致につながると思われます。
 観光産業はすそ野が広く、関連産業にとどまらず、多くの産業の生産や雇用に大きな波及効果をもたらすとともに、少子高齢化が進み、元気のない地域ににぎわいをもたらし、その活性化にも寄与する二十一世紀の有力な成長産業の一つであります。知事におかれては、県議会との連携のもと、今後、なお一層観光振興施策に取り組まれるよう要望いたします。
 以上、申し述べまして質問に入ります。
 質問の第一点は、平成二十年度予算についてであります。
 来年度の予算編成は、平成十年に真鍋県政がスタートしてちょうど十回目という節目に当たり、昨年十一月に策定した新たな財政再建方策の初年度となる予算であります。
 これまでの十年間を振り返ってみますと、バブル経済の崩壊以降、景気後退により税収が伸び悩む中で、小泉内閣における三位一体の改革による交付税の大幅削減など、地方にとって本当に厳しい改革が進められてまいりました。そのようなことから、本県の決算総額は、平成十年度をピークとして、平成十八年度まで八年連続の減少となり、昨年度決算の経常収支比率は九四・三%と、財政の硬直化が一層進みました。公債費負担比率も二二・一%と、一般的に財政運営上の危険ラインとされる二〇%を上回る水準に達しています。
 このように厳しい財政状況の中では、堅実性に重点を置いた財政運営を進めるしかなく、県民の理解と協力を得るためには、県政運営に臨む知事の思いや方針を県民に対してわかりやすく発信していくことが必要です。例えば小泉元総理は、ワンフレーズ・ポリティクスと呼ばれる手法を用い、短い言葉で政策をわかりやすくアピールし、その表現方法が多くの国民の共感を呼び、長きにわたって支持されました。また、額賀財務大臣は、来年度予算の政府案を成長と改革と簡潔に表現しましたが、そこには財政健全化、地域活性化、格差是正など多くのメッセージが込められているのであります。このように、政治家は、自己の政策のアピールポイントを県民にわかりやすい簡潔な言葉で訴えかけることが重要であります。
 そこで、将来の香川を見据えて、どのような点に重点を置いて予算編成に取り組んだのか、その根底にあるポリシーについて、まず知事にお伺いいたします。
 また、新たな財政再建方策においては、財政再建と地域の活性化の両立を図るため、三年間で十五億円の新規重点枠を設定することを定め、初年度である平成二十年度予算では四億八千万円余となる財源の重点配分を行ったと伺っております。
 私は、この新規重点枠は、県民の視点に立った、県民が未来に希望を抱き、夢の広がる施策に配分すべきであると考えます。
 そこで、めり張りのある予算とするために、新規重点枠として、どのような成果を見込んで施策を選択したのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、道路特定財源の確保に向けた取り組みについてであります。
 本県のように、鉄道やバスなど公共交通機関が十分に発達していない地域にとって、自動車は県民が日常生活や経済活動を営む上で基本的な移動手段であり、道路が必要不可欠なインフラであることは言うまでもありません。仮に、道路特定財源の暫定税率が廃止され、十分な道路財源の確保が困難になれば、現在、県内で進められている交通安全や救急医療など、県民生活に密接にかかわる道路整備に深刻な影響が及ぶことは避けられません。そればかりか、国に要望を続けている道路特定財源を活用した瀬戸大橋通行料金の抜本的な引き下げも、その実現が大きく遠のいてしまうことは明らかです。
 暫定税率の維持を国に強く求めていかなければなりません。
 県の試算によりますと、暫定税率が廃止された場合、地方道路整備臨時交付金と合わせて、平成十八年度決算ベースで県が百二億円、市町が四十二億円の減収になると伺っております。
 民主党は、暫定税率の廃止を声高に唱え、それに伴う地方の減収分に関して、国の直轄事業の地方負担を廃止して、地方に迷惑はかけないと主張しておりますが、この案には具体的な財源根拠がなく、地方負担の廃止分は国の負担増となり、形を変えて国民への新たな負担の増加につながるものであり、国民生活に痛みを押しつけるものであります。
 本県においても、影響は道路整備にとどまらず、近年、高齢化に伴い社会保障関係費などの義務的経費が毎年増大し、ますます財政の自由度が失われている中で、財政運営に大打撃となることは必至であり、福祉や教育行政など県民生活全般にわたって大きな影響を及ぼすだけでなく、財政破綻の危機が現実のものとなりかねません。本定例会に提案されている来年度当初予算も根底から覆ってしまうのであります。
 この点で、県内の全市町と認識を共有しており、今月七日には県と市町が足並みをそろえて、道路特定財源の暫定税率廃止に反対する香川県緊急大会を開催いたしました。これに先立ち、地方六団体も先月、暫定税率の廃止に反対する緊急共同声明を出したところです。
 しかし、このような地方からの働きかけにもかかわらず、衆・参ねじれ国会の中で事態は混沌としており、本県としても県民の暮らしを断固守るという立場に立って、取り組みをさらに強化していく必要があると考えます。
 そこで、道路特定財源の暫定税率の維持に向けて、どのように取り組むのか、知事のお考えをお伺いします。
 質問の第二点は、地方分権改革の推進についてであります。
 最近、第二期地方分権改革をめぐる議論が活発化しており、北川前三重県知事らが発起人となって、地方分権改革など重要政策の論争の場を国会議員らに提供する地域・生活者起点で日本を洗濯(選択)する国民連合という、いわゆる「せんたく」を、先月、事実上発足させました。これまでとはひと味違った新たな取り組みが進められる動きもあるようです。
 地方の主張を分権改革に反映させるためには、単に要望を国に届けるだけでは不十分であります。地域主権の確立を目指した具体的な構想を、地方として国に提示すべき時期が来ていると思います。しかし、本県はどのような戦略を持って地方分権改革に臨もうとしているのか、いまだに見えてきません。
 本県は、元気で全国一少数精鋭の県庁を目指して、知事部局では平成二十二年度までに一〇・五%の職員を削減して、二千八百人体制へもっていこうとしていますが、一方で、地方六団体は国に対して、権限・事務・財源の移譲をセットで求めるとともに、二重行政の解消を図るため、国の出先機関の廃止・縮小を求めています。つまり、地方が求める分権改革が進めば、本県は業務量がふえていく中で、組織のスリム化を目指さなければならないという事態になるのです。
 この点、国には、事務の移譲に伴って余剰となる職員をどうするかという課題があり、地方側にも、高度な技術を要する業務や専門的な業務の移譲を受けるだけの能力が備わっているかという懸念があります。
 そのような中、地方分権改革推進委員会は、昨年十一月の中間的な取りまとめにおいて、「事務と必要な要員の双方を地方に移譲することとすれば、地方自治体の体制の充実が図られ、地方が担うことも可能である」と明記しました。知事も、昨年、香川県経済同友会の幹事会における講演の中で、道州制や地方分権に絡み、「財源もそうであるが、人も国から地方へ配分していくことを考えなくてはならない」との認識を示されました。
 一方、市町に目を向けますと、本県は、平成の大合併により八市九町となりましたが、その財政力にはかなりばらつきがあり、地方分権の受け皿としての能力にも相当の違いがあります。地方自治法には、「地方公共団体は、最少の経費で最大の効果を上げるようにしなければならない」と明記されており、未曾有の財政危機に直面している今だからこそ、この基本原則に立ち返り、もっと小さくて、もっと優秀な自治体を目指さなければなりません。
 ところで、本県もそうですが、地方は、血のにじむような行財政改革を断行しております。ところが、国はほとんど何もやっていないと言っても過言ではありません。私は、地方として国の行財政改革をもっと真剣に訴えるべきではないかと考えます。今、県としてなすべきことは、あくまでも県民の視点に立って、今後の市町合併のあり方ともあわせ、国と県と市町、三者の役割分担について議論を深め、県として明確なビジョンを示すことです。同時に、分権改革に反映させるべき事項については、さまざまな場を活用して、その構想を積極的に国に提言すべきであると考えます。
 そこで、執行体制のあり方も含め、地方分権改革の実現に向けてどのように取り組むのか、知事のお考えをお伺いいたします。
 次に、道州制移行に向けた取り組みについてであります。
 地方分権改革を推進していく上では、国の出先機関の権限など、県域を越える広域的な権限や事務の受け皿についての議論が不可欠であり、そのような意味からも道州制の議論を避けて通ることができないのも事実です。
 政府は、昨年一月に、道州制担当大臣の下に道州制ビジョン懇談会を設置し、再来年を目途に道州制のビジョンを作成するとしています。また、福田総理は昨年十月の所信表明演説の中で、「地方分権の総仕上げである道州制の実現に向け、検討を加速する」との考えを表明されました。
 地方においても、九州地方知事会や九州経済連合会等が設立した九州地域戦略会議が来年度内に九州モデルの策定を目指すなど、各地で道州制における地域のあるべき姿を模索する動きが活発化してきています。
 しかし、そもそも国民の間に道州制は何のために導入するのかという根本的なコンセンサスもないままに議論が進んでいることに、一抹の不安を感じるのであります。確かに、最近、道州制という言葉がマスコミに登場する機会が多くなり、認知度は高まりつつありますが、多くの国民は道州制の目的や意義、メリットやデメリットなど、その中身について十分に議論しているとは思えません。
 また、これまでのさまざまな議論を聞いておりますと、国の考える道州制と地方の考えるそれとでは、どうも別次元のように思われてなりません。あくまで、地方主導の道州制でなければならないと思いますし、物理的に合併するだけの道州制というのは、地方として断固拒否しなければならないと考えています。
 私は、地方分権と道州制をあわせて考えるとき、経済的自立性の高い道州の連合体が国家となるというぐらいの分権が必要だと考えています。県は、道州制移行の是非も含めて、具体的イメージを県民に十分説明し、県民参加の議論の中で合意形成を図っていくことが必要であると考えます。
 そこで、道州制に関してどのような認識を持ち、県民の中で議論を活発化させるためにどのように取り組むのか、知事のお考えをお伺いします。
 また、道州制の導入を見据えたとき、中枢拠点機能を備えた都市づくりも重要なテーマの一つであります。しかし、高松市中心部における交通政策一つを見ても、道州制を見据えた都市整備が進められているとは思えません。例えば、琴電連続立体交差事業は、県や市の厳しい財政事情を理由に現在も休止中でありますが、いつまでも宙に浮いたような状態で放置していいはずもなく、その方向性について、早急に判断を下す必要があると思います。
 そのような中、高松市の大西市長は、先月、市内で開催されたまちなか元気サミット二〇〇八において、次世代型路面電車、いわゆるLRTの導入調査に前向きに取り組むとの考えを明らかにしました。道州制を見据えた中枢拠点機能を備えた都市づくりとはどうあるべきかについて、大西市長とのトップ会談の場を活用し、まちづくりの重要な要素の一つである公共交通網のあり方も含めた総合的な見地から議論を深めていく必要があるのではないでしょうか。
 そこで、高松市と連携した中枢拠点都市づくりにどのように取り組むのか、あわせてお伺いします。
 質問の第三点は、人口減少対策についてであります。
 総務省が、先月公表した平成十九年の住民基本台帳人口移動報告によりますと、本県を初め、四十の道府県が転出超過となる一方で、東京、神奈川、愛知など、都市部を中心とする七都県で転入超過となり、ますます都市と地方の格差が拡大していることを示す結果となっています。また、本県の人口は、平成十二年以降、転出が転入を上回る社会減、さらに平成十五年からは死亡が出生を上回る自然減となっており、まさしく人口減少社会に突入しているのです。
 県は、このような状況に歯どめをかけるため、一昨年十一月に、香川県における人口減少対策に関する基本的考え方を示し、その中で十の方策を打ち出しました。残念なことに、そこには知事の哲学らしきものは見えず、これでは効果の上がりようがないのではないかと危惧しております。何事も、有効な対策を講じるためには、そこに潜む問題点を正確に把握し、それを解決するための行政目的をしっかりと定めることが必要です。何のビジョンや目標も持たず、ただやみくもに人口増加を図ろうとしても、明るい展望が開けてくるとはとても思えません。
 私は、人口減少問題を考える際に重要なキーポイントは人口構造であると思います。例えば、社会保障制度の維持という観点からいえば、行政サービスを受ける側の人数よりも、そのコストを負担する人数の方が多いピラミッド型の人口構造が望ましいことは申し上げるまでもありませんが、現実は、つり鐘型をも通り越して、逆ピラミッド型へ移行しつつあります。
 県としては、このような人口減少傾向に陥った現状をそのまま前提としたまちづくりを行おうとするのか、あるいは自然増や社会増を促し、人口の維持を目指した取り組みを優先させるべきと考えているのか、どちらでしょうか。また、選択肢の一つとして、外国人定住を促す施策を取り入れてでも社会増を図ろうというかたい決意を知事はお持ちでしょうか。
 そこで、本県の人口構造の現状と将来について、知事はどのように認識し、将来的にどのようにしたいと考えておられるのか、トップリーダーとしてのビジョンをお伺いします。
 次に、国に対する働きかけについてであります。
 現在、国や地方はさまざまな少子化対策を講じているものの、出産適齢期と言われている団塊世代二世の人数が団塊の世代よりも確実に減っていることや、最近の合計特殊出生率の推移を見ると、今後、相当の期間にわたって、国家レベルでの少子化傾向が続くことは避けられません。少子化対策には特効薬はありませんし、それゆえに長期的な視点に立った地道な取り組みを続けていかなければなりません。
 しかし、憂慮すべき最大の問題は、時代の変遷とともに、国民の価値観やライフスタイルが大きく変化し、結婚や出産に対するリスクや経済的負担を回避しようとする傾向が国民の間で強くなっていることです。もちろん、人がどこで子供を産み育て、どこで暮らすかは人それぞれの自由であり、行政が強制できるものではありません。行政がなすべきことは、県民だれもが子供を産み、育てたいと考えたときに、それが可能となる環境を整えておくことであり、それを支援する制度を構築することです。
 昨今、人・もの・金の都市部への集中が進み、地方においては少子高齢化の急速な進展とも相まって、各種社会保障制度の維持さえ困難になるなど、地方が疲弊する状況が生まれております。
 このような状況を打開するための社会減対策としては、企業立地の促進などで働く場を確保し、働く者の生活の安定を図るワーク・ライフ・バランスの視点からの環境整備など、定住化を促進する取り組みが必要であります。その結果、人や企業がふえれば、農地の保全や過疎対策にもつながりますし、ほかにも税収の増加など、一石数鳥とも言える効果が期待できるだけに、県は、人や企業にインセンティブが働くような施策を積極的に展開すべきです。
 重要なことは、人がそこに住みたいと思えるような活力あふれた魅力ある香川づくりであり、それに向けた明確なビジョンを示し、人や企業が自然に集まってきてくれるような環境を整備することなのです。例えば、秋田県の寺田知事は、財政力の異なる地域ごとに異なる法人税率を適用し、企業立地を促進することを柱とした新時代国土発展制度、いわゆる一国二制度を提言しています。本県も、人と企業を呼び込むために、地域の実情に合わせて既存の制度を大胆に変えたり、地域特有の新たな制度の創設ができるよう、国に求めていく必要があります。今後、真の意味での地方分権社会の構築を目指していくためには、都市部への一極集中の流れを変え、人や企業の地方分散を誘導するような国家的施策を講じることが急務であると考えます。
 そこで、国に対してどのような働きかけを行っていくのか、知事のお考えをお伺いします。
 質問の第四点は、中心市街地の活性化についてであります。
 近年、道路網の整備やモータリゼーションの進展などを背景に、都市機能が拡散しており、かつて栄えた中心市街地の衰退・空洞化が顕著になりつつあります。中心市街地には、商業などの都市機能の集積だけでなく、歴史・伝統・文化といった広い意味での地域資源が蓄積されており、その衰退は地域全体の活力を低下させることにつながります。
 本県では、人口減少や少子高齢化の進展が長期的に継続すると見込まれており、また、これまでのような急激な経済成長が見込めない状況にあります。このような中で、既存の財産や資源を有効活用しつつ、さまざまな機能が集積したいわゆるコンパクトシティーを構築し、多くの人々にとって暮らしやすいまちづくりを目指すことが求められています。
 そして、その際、中心市街地の中核をなす商店街の活性化が非常に重要な要素となります。しかし、本県では、大手資本による大規模小売店舗の郊外への立地に伴う競争の激化により、体力のない既存の小売店が店を閉じ、シャッター通り化する商店街が続出しています。県は、昨年七月に、大規模小売店舗の立地に関するガイドラインを施行し、その中で、延べ床面積が一万平方メートルを超える小売店舗の設置者に、地域住民等との対話や地域貢献活動を求めています。地域の住民と密接な関係を持つ小売店にとって、地域の中で責任を持って積極的に社会的、経済的な貢献をなすことは重要なことです。現在、既存の店舗に対して、地域貢献の内容を記載した計画書の提出を求めると伺っておりますが、その内容については、早期に公表することが必要だと考えます。
 そこでまず、地域貢献の内容及びその公表時期について、知事のお考えをお聞きします。
 また、十一月には、大規模集客施設の立地規制などを内容とする改正都市計画法が全面施行され、県もこれに応じてまちづくりの基本方針を策定するなどの対応を行っていますが、これらの適切な運用が期待されます。しかし、現実には、改正都市計画法施行前に駆け込み的に手続を行った延べ床面積一万平方メートルを超える店舗の出店が、複数の市町で予定されており、また、この規模未満の店舗を見ても、新規出店計画がかなりの数になっているように伺っています。
 これらは、郊外の主要な道路沿いに立地するケースが多いため、優良農地が次々に失われているという状況もあります。今後、これら大規模小売店舗の立地により、周辺の地域や市町、さらには県全体に少なからぬ影響を与えることを十分に認識した上で、県全体としてのまちづくりの方向性を明確にして、商店街の活性化やコンパクトシティーの実現に向けた取り組みが必要であると考えます。
 そこで、今後、県として、大規模小売店舗の立地に関してどのように取り組むのか、知事のお考えをお伺いします。
 今、申したような状況の中で、高松丸亀町商店街は、先進的な手法による再開発プロジェクトによって商業施設をオープンさせるなど、再びにぎわいを取り戻しつつあります。民間が主体となって商店街の再生に取り組んだ結果であり、大変評価できますし、また、他の商店街にとっても参考になると思います。しかし一方では、地元の主体性を前提としながらも、現実問題としてこのような取り組みを行うためには、相当程度の財政力や人材の確保が必要です。県内各地の商店街においては、そのような条件が整っていないところが多くあり、行政による幅広い支援が必要です。
 そこで、県としては、県内各地の中心市街地の活性化に向け、具体的にどのように取り組むのか、知事の考え方をお伺いします。
 質問の第五点は、県内産業の振興についてであります。
 現在、原油や原材料などの価格高騰の影響が拡大しており、商工業や農水産業を初め、本県経済への影響も深刻化しています。平成十八年の事業所・企業統計調査によれば、県内に立地している事業所数は、宇多津町以外のすべての市町で減少しており、平成十三年調査に比較して、率にして八・八%の減少となっており、特に従業者数百人未満の事業所においては、従業者数だけでなく、事業所数そのものも減少しています。
 高松商工会議所が発表した昨年十月から十二月期の管内中小企業の景気動向調査によりますと、景気判断DIは、七月から九月期に比べて三・三ポイント低下してマイナス二八・五となり、四期連続で悪化しております。同会議所は、仕入れ価格高騰の影響が引き続き拡大していると分析しています。
 中でも、建設業にあっては、今後、さらに各種資材価格の値上げが予想されることに加え、耐震強度偽装問題への抜本対策として、昨年、建築基準法が改正されたことに伴う建築確認手続のおくれが大きな問題となっています。昨年の国内の新設住宅着工戸数は百六万七百四十一戸と、前年から一七・八%も減少し、四十年ぶりで百十万戸を割り込みました。建設関連分野は、すそ野も広く、今後の本県経済に与える影響が懸念されます。
 また、農水産業は、燃料費の高騰による生産コストに占める割合が非常に高くなっている一方で、大部分の産品が市場を通した競りによって価格が決まり、容易に価格転嫁できないことなどから、非常に厳しい対応が迫られております。畜産業においても、生産性の向上を図るなど自助努力を行ってはおりますが、飼料高によるコスト上昇分をカバーできず、所得が著しく低下しています。
 既に、これらの複合的な課題への対処は、個々の経営者や農業者、漁業者の経営努力の限界を超えています。現在の状況は、短期的な資金需要の逼迫を招くだけにとどまらず、低迷が長引けば、企業倒産や農業・漁業離れが広い範囲で発生し、失業に伴う消費の低迷といった悪循環に陥るおそれがあります。今後は、生産活動の基盤となる地域を活性化して経済活動の拡大につなげ、経済活動の拡大が地域をさらに活性化させるという好循環を生み出すための抜本的、総合的な取り組みが望まれます。
 そのためには、各部局ごとに行っている商工業、農水産業、建設業といった業種別、業態別の産業振興策に加え、これら部局が有機的に連携した総合的な産業政策に取り組むことが不可欠です。
 そこで、本県経済の現状をどのようにとらえ、今後、どのように県内産業の振興を図っていくのか、知事のお考えをお伺いいたします。
 質問の第六点は、観光の振興についてであります。
 その第一は、まちづくり型観光の推進についてであります。
 まちづくり型観光を推進し、発展させるためには、地域住民が、それぞれの地域が持つ資源の価値を十分認識し、主体となって有効に利用し、活用しようという意欲が不可欠です。その結果、住民パワーが結集され、情熱を持った取り組みが行われることで、その地域は活性化し、将来の自立が可能となります。一方、各地の成功事例を見れば、県や市町など行政が、県内外に向けてのPR活動やアドバイザーの派遣など、側面的な支援をしっかりと行っており、住民のやる気だけに頼るのでは、決して長続きしないということがわかります。
 そこで、まちづくり型観光の推進における住民の主体的な参加を促進するため、現在、県としてどのような支援をし、また、今後、どのように取り組むのか、知事のお考えをお伺いします。
 さらに、将来的な展望を持った戦略性も必要であります。本年は、瀬戸大橋開通二十周年を初め、ハマチ養殖八十周年、さらにはオリーブ植栽百周年といったメモリアルイヤーであり、記念事業やイベントが数多く開催されます。また、平成二十二年度には、瀬戸内国際芸術祭も開催されることになっております。平成二十一年度には、まち歩き博の開催が計画されておりますが、できるだけ県内外の多くの人に参加してもらって、ぜひともにぎわいのあるすばらしい催し物となるよう期待しています。
 参考になる例として、長崎市では、歩きながら観光や見聞を深めるというコンセプトで、「長崎さるく博」を平成十八年四月から約半年間開催しました。歴史・文化・観光・スポーツとジャンルも幅広く、参加者の体力や年齢、趣味や嗜好による選択肢が豊富で、延べ参加者数は千二十三万三千人にも達し、にぎわいの創出に大変寄与したと聞いております。
 本県でも、基本となる目標や理念を明確にした上で、人々のさまざまなニーズに対応し、また、より多くの住民の方々にさまざまな形で参加してもらえるような魅力あふれるまち歩き博にする必要があります。しかし、ややもすれば参加者数に通常の観光客を含めてカウントしたり、主催者がその効果に自己満足してしまうことがありがちですが、真の開催のねらいは、にぎわい創出と今後の持続的発展なのであります。したがって、具体的成果を上げることによって、今後のまちづくり型観光の発展に向けたよいきっかけづくりとする必要があります。
 そこで、まち歩き博の開催に向けた取り組みと、今後のまちづくり型観光の推進について、知事のお考えをお伺いします。
 その第二は、にぎわい創出に向けた広報戦略についてであります。
 各地域や地方自治体は、地域経済の活性化に向けて観光、文化、産業など、さまざまな分野で都市部の消費者需要を掘り起こすために独自の工夫を重ねており、地域間競争は年々激化しています。今後、本県がこうした競争に打ち勝つためには、香川の魅力をつくり出し、他の地域との差別化を図った上でブランド力を向上させ、その情報を効果的に発信していくことが重要となっています。
 本県の魅力を県外の人たちに知ってもらうためには、ことし開催されるさまざまなメモリアルイヤーのイベントや、先ほど提案した住民参加型のまち歩き博などは絶好の機会であり、広範かつ集中的に人々が興味を抱くような宣伝活動を行うことが必要です。また、今後はイベントの開催などに加え、民間の協力も得ながら工夫を凝らし、地域資源を十分に活用した体験型や参加型観光の振興によるにぎわいの創出が不可欠です。そして、そのにぎわいを持続するためには、中長期的な視点に立ち、戦略的にPR活動を展開することにより、交流人口の拡大を目指すことが必要となってきます。さらに、高速交通体系の整備やモータリゼーションの進展などを背景にして、人々の観光に対するニーズが多様化、広域化する中で、四国の四県が連携して国内外にアピールすることも重要です。
 そこで、今後のにぎわい創出に向けた広報戦略について、知事のお考えをお伺いします。
 質問の第七点は、入札・契約制度の見直しについてであります。
 入札・契約制度の見直しについては、去る十一月定例会の我が党の代表質問に対し、知事は、「公正性、競争性、透明性の向上に向けた改革に取り組みたいと考えており、入札参加資格要件のあり方等も含め、検討する」と答弁されました。
 これまでも、県は、公正な競争を確保するため、一般競争入札について、平成六年度に十億円以上の工事に導入して以降、順次、その範囲の拡大を図ってきており、昨年四月には、五千万円以上の工事にまで拡大したところであります。
 一般競争入札は、基準を満たした不特定多数の業者が入札に参加できるため、指名競争入札に比べ、健全な競争と価格決定の透明性を確保できるというメリットがあります。反面、参加業者の拡大は、度を超えた競争によるダンピングを招くおそれがあり、特に規模の小さい工事ほど競争が激しい傾向があることから、ただでさえ疲弊した小規模な県内建設業者の経営をさらに圧迫することが懸念されます。
 今後、制度を検討するに当たっては、これまでの一般競争入札の範囲拡大の実施結果を十分検証した上で、経営基盤が脆弱な小規模な業者が多いという本県の実情に合った制度にしなければなりません。
 また、平成十八年度からは、価格だけではなく、価格と品質に総合的にすぐれた調達を行うため、一部で総合評価方式による入札契約を試行しております。平成十八年度は三十二件で実施、今年度は五十件程度の実施予定であると聞いており、県としてのデータ蓄積も進んでいるのではないかと思います。
 大切なことは、本県の高度な技術力を有する技術者や熟練した技を持った労働者、高い機動力を持つ機械のオペレーターを残していくことに主眼を置くことだと思のであります。
 そこで、一般競争入札の範囲を拡大した結果や総合評価方式試行の成果について、どう分析評価しているのか、また、その結果を踏まえ、今後、どのように制度を見直そうとしているのか、知事のお考えをお伺いいたします。
 また、事業量が極めて少なくなった現在、県事業はもとより、県の負担金を伴うすべての事業において、これまで県外事業者の参入が多かった建築や道路舗装、港湾事業については、できる限り県内事業者に発注するという視点も必要であると考えますが、どのように取り組んでいくのか、あわせてお伺いします。
 質問の第八点は、県内の道路整備についてであります。
 「すべての道はローマに通ず」という言葉があります。古代ローマ帝国では、ローマ街道と呼ばれる石づくりの堅固な道路が整備され、そこを人あるいは物が交流することで、何世紀にもわたる繁栄と平和を支えていたと言われております。交通網の整備が、いわゆるローマの平和、パックス・ロマーナを成り立たせる基盤となっているのであります。このことは、時と場所を越えて当てはまる真理だと思います。
 さて、先ほども申しましたが、本県においても、道路は県民の生活や経済活動を支えるものであり、活力ある地域づくりに欠かすことのできないインフラとして、その整備は、厳しい財政状況の中でも引き続き取り組まなければならない最重要の課題であります。
 県内には、例えば、慢性的な交通渋滞により早期の四車線化が求められている西讃地区の国道十一号の整備や、安全性や利便性の向上に向けて、現在、暫定二車線で対面通行となっている高松東インターチェンジ以東の高速道路の四車線化を初め、高度成長期に整備され、今後二十年で順次耐用年数を迎える数多くの橋梁やトンネルの計画的な補修・更新など、今後、取り組まなければならない道路整備が山積しています。
 一方、本県の人口十万人当たりの交通事故死者数は、昨年は全国ワースト四位と一昨年のワースト一位からは脱却できたものの、依然として多くの死者が発生しており、本県はまさに、交通死亡事故多発県と言わざるを得ない状況が続いています。
 このようなことから、安全で快適な生活空間の確保のために、右折車線設置による交差点改良や歩道などの交通安全施設の整備が喫緊の課題となっています。また、厳しい財政状況の中で、必要な道路整備を進めていくには、すべての工事について、一律にシーリングをかけるのではなく、工種ごとに優先順位をつけた積み上げ方式の予算編成を行うべきです。
 そこで、本県にとって真に必要な道路を、今後、どう整備していくのか、また、そのためには今後十年間にどの程度の道路事業費が必要であると考えているのか、知事にお伺いします。
 質問の第九点は、重要犯罪の徹底検挙についてであります。
 昨年十一月、坂出市で祖母と二人の孫娘が殺害されるという事件が起こりました。県警察は直ちに捜査本部を設置し、捜査員を大量に集中投入することなどにより、被疑者を早期に逮捕することができました。昼夜を問わず捜査に励み、早期に結果を出した捜査員の懸命な努力に敬意を表します。
 さて、本県の殺人、強盗、放火などの重要犯罪情勢を見ますと、重要犯罪認知件数は、平成十五年をピークに減少に転じた後、減少傾向が続いているものの、昨年一年間の認知件数は十年前と比べると約一・五倍に増加しております。また、昨年の重要犯罪検挙数は九四%であり、平成十五年から改善されているものの、十年前の一〇〇%に比べて六ポイント低くなっております。さらに、殺人だけを見ますと、昨年一年間の認知件数は十一件でほぼ横ばいとなっており、社会を震撼させるような凶悪事件も相次いで発生するなど、依然として厳しい治安状況に変わりはありません。
 重要犯罪は、一たび発生すると本人や家族が受ける被害ははかり知れないほど大きく、一般県民にも治安に対する強い不安感を与えます。県民が、県警察に特に強く求めているのは、重要犯罪に対する捜査力を強化し、早期に必ず犯人を検挙するということです。
 県警察では、警察官の増員や警察署の再編整備、空き交番の解消、さらにはDNA型鑑定装置の導入などによる科学捜査技術の向上など、警察の執行力を向上させるようなさまざまな取り組みを行ってきました。一方では、県民の防犯意識も以前より向上し、防犯ボランティア活動が活発化するなど、犯罪の検挙と抑止の環境が整いつつあります。
 このような中、県警察では、本年一月、治安再生プログラムを策定し、平成二十年から三年間を実施期間とする総合的な治安対策を推進しようとしております。治安回復の兆しが見える今こそ、治安再生を確実にするため、プログラムに基づく施策を着実に実施し、とりわけ重要犯罪の徹底検挙を一層強力に推進する必要があると考えます。
 そこで、重要犯罪の徹底検挙に向け、今後、どのように取り組むのか、警察本部長のお考えをお伺いいたします。
 以上、香川県議会自由民主党議員会を代表しての私の質問を終わります。

平成13年9月定例会

ただいまから、自由民主党議員会を代表して、当面する県政重要課題について質問いたします。
 質問に当たりましては、今議会は、私と同僚、原内議員とで臨みたいと思います。
 以下、私から知事並びに警察本部長に質問いたしますが、質問に先立って、一言申し述べたいと存じます。
 今月十一日、ニューヨークの世界貿易センタービルとアメリカ国防総省をねらった同時多発テロは、その規模と凶悪さの点で、史上例のない最悪の事件となりました。事件に遭遇し、安否不明の日本国民も多数に上っております。犠牲者の無念、肉親の悲しみを思うとき、無関係の人たちを巻き込んだ無差別テロへの怒りは、到底言葉ではあらわせません。小泉首相は、この事件を民主主義に対する重大な挑戦と位置づけております。私もまた、国際世界の安定と平和は、市民が秩序と平穏の中で生きる権利を大切にし、自由と民主主義が国境を超えたルールとして守られることにあると考えます。国際社会の平和なしに、経済立国である我が国の存在はあり得ません。テロに対して毅然とした姿勢をとることは、日本人と日本の国益を守ることであります。日本が民主主義社会の一員として、最大限の責務を果たすことを望むものであります。
 さて、去る七月二十九日に執行された第十九回参議院議員選挙では、我が自由民主党が大勝し、大きく党勢を回復するとともに、自民、公明、保守の与党三党が、非改選議員と合わせて過半数を上回る議席を獲得いたしました。これは、国民が小泉純一郎首相の進める聖域なき構造改革路線を信任し、自公保連立政権を支持する意思を示したものであります。二十一世紀初めの国政選挙で、こうした結果が出ましたことは、今後の日本の行く末を左右する、重大な意味合いを帯びております。すなわち、官から民へ、国から地方へを軸とした改革の基本方針が、国民の信任を得た結果であると思うのであります。国におかれては、小泉首相のリーダシップのもと、内閣主導により、景気と構造改革のバランスをとりつつ、柔軟かつ機敏な判断とスピーディーな政策展開により、国民の望む改革を着実に実行されるよう期待するものであります。
 ところで、夏休みが始まったばかりの七月下旬、兵庫県明石市において、夏祭りの花火見物でごった返していた歩道橋上で、多数の人が将棋倒しとなり、十人が死亡、百人以上が重軽傷を負いました。市、民間の警備会社、警察当局が、何度か事前協議の会合を持ったと言われておりますが、それぞれの役割と責任をどれだけ認識していたのでありましょうか。
 さらに、九月初め、東京・新宿で起きた雑居ビル火災は、死者四十四人という大惨事になりました。火災発生時に逃げにくいという雑居ビルの構造上の欠陥と、防火設備の不備が重なった悲劇でありましょうが、関係者は、事前に漠然と危険を感じていたのではないでしょうか。対策を阻んだ理由の一つは、ビルの建築確認は区、飲食業の所管は保健所、防災は消防、風俗営業は警察といった縦割り行政にあったのではないかと思うのであります。二つの事件を顧みるとき、関係機関が事前に横断的に連携して安全点検に努め、縦割り行政のすき間を埋めることができていれば、危険は回避できていたのではないかと思うのであります。
 今後、我が県での類似事件の防止対策の遂行に当たっては、県内部はもとより、他の行政機関との連携についても十分に留意されるよう望むものであります。
 去る八月八日、県職員労働組合は、出先機関の再編整備に反対して、本庁を初め多くの職場において、勤務時間内に食い込む集会を実施いたしました。
 言うまでもなく、このような争議行為は、地方公務員法に抵触する重大な違法行為であり、県民に対する奉仕者としての責務を放棄する暴挙であります。知事におかれては、先日、争議行為への参加者に対して、処分を行ったようでありますが、企業倒産やリストラが相次ぐ昨今の厳しい経済情勢を考えるとき、今回の争議行為によって、県民の信用は著しく損なわれたと思われます。今後、このような事態が再び繰り返されることのないよう、職員に対しては、県民全体の奉仕者としての自覚を強く促すとともに、知事に対しては、十分な指導を要望するものであります。
 以上、申し述べまして質問に入ります。
 質問の第一点は、行財政問題についてであります。
 その第一は、来年度予算の編成に向けての基本方針についてであります。
 小泉総理は、この夏実施された参議院議員選挙での我が自由民主党の勝利を受け、いよいよ特殊法人を初めとする本格的な小泉改革の具体化に着手したところであります。そして、財政面における抜本的な構造改革の第一歩として、来年度の予算編成に当たっては、今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針、いわゆる骨太の方針を踏まえ、国債発行額を三十兆円以下に抑えることを目標にするとともに、歳出全般に徹底した見直しを行い、思い切った縮減と重点的な配分を実現することにより、一般会計全体の歳出規模を、本年度当初予算より三兆円減額するという、基本的な考え方を明らかにしたところであります。このため、来年度予算の概算要求基準において、社会保障関係費と義務的経費を除き、公共投資関連費と一般政策経費については、今年度当初予算より一〇%の削減を行うこととし、このうち一般政策経費の削減分を構造改革特別要求として、循環型経済社会の構築など環境問題への対応、少子高齢化への対応、地方の個性ある活性化、まちづくりなど、重点七分野への公共投資重点化措置を講じることとしております。
 また、国債発行額を三十兆円以下に抑えるとともに、歳出全般にわたる徹底した見直しを行うという政府の方針から、来年度の地方財政計画についても、徹底した見直しがなされようとしております。その際、国の関与の縮減や、国及び地方公共団体が最低限保障すべき行政サービスの水準の見直しなどに応じて、補助金や地方交付税などにより手当する地方歳出の見直しが検討されるところであります。
 さらに、地方自治体が独自の財源で実施する地方単独公共事業について、来年度の事業費を今年度より一〇%減らし、国に連動した予算編成を地方自治体に促す方針と伺っております。
 こうした中、先月末、国の平成十四年度予算の各省庁の概算要求が取りまとめられ、公共事業や社会保障などの政策的経費である一般歳出は、今年度当初予算比一・七%減の四十七兆八千三百億円と、橋本内閣の平成十年度予算以来の緊縮型となっていることが明らかにされたところであります。
 また、一般歳出と国債の償還や利払いに充てる国債費、地方自治体の財源不足を補う地方交付税交付金等を合わせた一般会計総額は、八十五兆七千億円程度と、今年度当初予算の三・七%増となっており、今後、小泉総理の一般会計全体の歳出規模を、今年度当初予算より三兆円減額するという方針の実現を目指し、年末の政府予算案の策定に向け、本格的な予算編成作業が進められるところであります。
 本県におきましても、こうした国の動向を見きわめながら、間もなく来年度の予算編成作業が始まるわけであります。
 そこで、本県が進むべき方向を踏まえた県づくりの基本目標や基本方針を示した知事の「みどり・うるおい・にぎわい創造プラン」を実現するため、地方単独公共事業のあり方を含め、どのような基本方針で来年度予算の編成に臨まれようとしているのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 第二は、ペイオフ解禁に伴う公金管理の対応についてであります。
 ペイオフの解禁は、橋本内閣当時、金融制度改革の一つとして、平成十三年四月から実施が予定されておりましたが、経営基盤の脆弱な金融機関からの急激な預金流出による金融不安や、それに伴う日本経済への影響を考慮し、その実施が、平成十四年四月まで凍結されているところであります。ペイオフ制度は、金融機関の破綻の際、預金者を保護するため、金融機関が預金保険機構に保険料を支払い、破綻した金融機関にかわって、預金保険機構が預金者に対して、一定額の払い戻しの保証を行う制度であり、払戻額の上限は、預金者一人当たり、元本一千万円とその利息に限るものであります。ペイオフは二段階で進められ、来年四月からは、まず定期預金や定期積金など、定期性預金がペイオフの対象となり、さらに、平成十五年四月からは、普通預金や当座預金などの流動性預金もペイオフの対象となります。地方公共団体においても、この影響は避けられず、全国の金融機関に預けられた約二十兆円と言われる公金預金もペイオフの対象となります。ペイオフの解禁は、これまで最も確実かつ有利な方法として、金融機関を通じて公金の管理や運用をしてきた地方自治体にとっても、大きな問題であります。
 こうした中、総務省は、地方公共団体におけるペイオフ解禁への対応方策研究会を設け、公金預金の保護に係る対応策について検討を重ね、本年三月、その検討結果を発表したところであります。それによりますと、地方公共団体が取り得る公金預金保護のための対応方策として、金融機関について、その破綻の可能性を踏まえた平常時からの経営状況把握と、そのための体制整備の推進や、預金債権と借入金である地方債とを相殺することなど、具体的な方策を示しているところであります。
 また、東京都を初めとして、全国の地方公共団体においてもペイオフ解禁に向け、真剣にその対応を検討しているところであり、本県も公金を管理する一預金者として、自己責任による対応や県民に対する十分な説明責任を果たすことが避けて通れないところであります。
 そこで、本県におけるペイオフ解禁に向けたこれまでの取り組み状況についてお伺いいたしますとともに、その対応について、知事の御所見をお伺いいたします。
 第三は、本庁組織の見直しについてであります。
 現在の日本は、バブル崩壊後の長期にわたる景気低迷の中、かつてない大きな変化の時代を迎え、従来の制度や仕組みでは、新しい時代のもろもろの課題に迅速かつ的確に対応することが難しい状況になっており、県政の運営に当たりましても、行政システムそのものを抜本的に変革することが求められております。このため、本県におきましては、新しい時代にふさわしい行財政システムの構築を目指して、平成十一年三月に、新行政改革大綱を策定し、スリムな行政運営体制の構築を初め、職員の意識改革の推進や開かれた県政の推進などに取り組んでいるところであります。申すまでもなく、地方分権改革の目指すところは、省庁主導の縦割りの画一行政システムを、住民主導の個性的で総合的な行政システムに切りかえ、画一から多様へというような、時代の大きな流れに的確に対応できるよう、行政システムを再構築することにあります。この地方分権改革により、地方自治体はこれまでのように、国から与えられた仕事を国の指示に沿って処理するのではなく、従属と依存の意識を克服し、自己決定、自己責任のもと、創意と工夫に満ちた地域づくりに取り組むことが求められております。
 本県では、本庁組織につきましては、これまで健康福祉部、商工労働部、農林水産部等の再編を行ってきたところでありますが、来年度に向けて、総務部、企画部及び生活環境部の見直しが課題となっていると伺っておりますが、私は、こうした地方分権改革の趣旨を踏まえますと、特に、政策形成機能を持つ企画担当部局の改革が、本県にとって極めて重要な課題であると考えるものであります。企画担当部局につきましては、これまで以上に、県民の視点で課題を解決するための政策を、全庁的視点から企画立案し、展開できる組織体制の構築がぜひとも必要であります。
 そこで、来年度に向け検討が進められている総務部と企画部の見直しについて、どのような視点から、どのような組織体制を考えておられるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 また、県政の大きな課題の一つであります資源循環型社会の構築や緑の保全などに、さらに一層、的確に対応していくため、生活環境部、中でも環境部門の見直しが検討されているようでありますが、あわせて知事の御所見をお伺いいたします。
 質問の第二点は、国際化の推進についてであります。
 その第一は、国際交流の推進についてであります。
 日本人の海外渡航者数は、昨年一年間で、実に一千七百八十二万人にも上り、これは、日本人の七人に一人が海外に渡っていることになります。本県におきましても、九万四千人余りの県民が海外に渡航して、異国の文化や風土に接しております。
 一方、海外から本県を訪れる外国人の数は、本県の代表的な観光地である栗林公園の入園者で見ますと、一万四千六百人余りであります。
 さらに、県内の外国人登録者数のうち、留学や研修といった目的の在留者は、十年前のほぼ四倍の千人余りとなっております。今や諸外国との交流は、かつての国家間レベルのものから、地域と地域が直接に結びつくボーダーレス化の時代を迎え、県民の日常生活のすみずみまで、人や物や情報の国境を越えた交流が、これまで以上に急速に進展することが予想されます。このような時代にあっては、国際化を県全体の活性化を図るための重要な要素として位置づける必要があるものと考えるところであります。
 そこで、本県におけるさらなる国際交流を推進するため、どのような方策を講じられようとしているのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 第二は、国際協力の推進についてであります。
 知事は、みどり・うるおい・にぎわい創造プランの中で、今後、国際化の波に的確に対応していくため、共生型から共創型へ、国際交流から国際協力へ、県民参加型から県民主導型へという三つの基本理念を掲げているところであります。そして、このような理念のもとで、地域の特性を生かした国際協力を推進していくために、海外から研修生や留学生を積極的に受け入れ、さまざまな技術やノウハウ、知識などの移転、習得を図るとともに、本県から海外へ専門家などを派遣するなど、双方向による協力活動を進めていくことが重要であるとしております。
 また、こうした国際協力活動の担い手として、青年海外協力隊や国際協力事業団による海外ボランティア事業等への積極的な参加、活動が求められているところでありますが、現在、派遣中の本県出身者は二十四名と、他県に比較して、決して多いとは言えない状況であります。
 そこで、本県に蓄積されたさまざまな技術やノウハウを、国際協力活動に積極的に生かす方策として、例えば県みずからが率先して、高度な技術や豊かな経験を有する県職員を派遣することなどにより、県民が自発的に国際協力活動に参加しやすい環境整備を進める時期にきていると考えるところでありますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 第三は、南米への移住史の編さん等についてであります。
 平成元年度に作成された移住者名簿によりますと、本県から南米への移住者とその子孫は、ブラジルを初めとして、アルゼンチン、パラグアイ、ペルーなどに二千家族、八千五百人以上もの人々がおられます。移住された方々は、幾多の困難のもと努力され、今日の地位を築き、移住先国の国づくりに、多大なる貢献をされているところであります。私は、本年五月から六月にかけて、香川県南米訪問団の一員として、アルゼンチン香川県人会創立三十五周年記念式典などに参加し、これらの方々にお会いする機会を得ることができましたが、一世の方々は少なくなり、今や二世、三世の世代へと移り変わってきております。そして、世代交代など、移住者の方々を取り巻く状況が大きく変化している中、当時の状況や苦難の歴史を記録、保存し、後世に伝える体系的な資料整備の必要性を感じてまいったところであります。
 そこで、移住時の状況や今日までの歴史を後世に残し、伝える資料として、移住史を編さんすべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 また、作成から十二年を経過しようとしている移住者名簿の改訂につきましても、知事の御所見をあわせてお伺いいたします。
 質問の第三点は、フリーゲージトレインの四国への導入についてであります。
 車両の間隔を自由に変えることで、新幹線と在来線の直通運転を可能にするフリーゲージトレインにつきましては、平成十一年度から二カ年をかけて、国の新幹線直通運転化調査委員会において、JR宇野線・本四備讃線を初め、全国の七路線十区画について、事業化の可能性調査等が進められてまいりましたが、先月末、その調査結果が発表されたところであります。
 その調査結果によりますと、岡山・高松間については、新幹線との接続部の建設や在来線の高速化の整備費を三百四十億円と試算し、フリーゲージトレインが導入されると、利用者が六%伸び、調査対象十区間の中では最も多い、一日当たり一万人強にメリットが及ぶと予測されております。
 また、高松・新大阪の所要時間は、岡山駅での乗りかえの解消などから、従来より十二分短縮され、一時間三十二分となるものと予測されております。調査結果の中では、各路線の優劣については言及されておりませんが、これらの結果を見るとき、四国への導入は、コストや需要面で優位性の高さが裏づけられるものと考えられ、フリーゲージトレインの導入は、四国地域の活性化に大きな効果をもたらすものと期待を新たにしたところであります。
 そこで、知事は、この調査結果についてどのように受けとめられておられるのか、お伺いいたします。
 また、四国の他の三県はもとより、岡山駅での新幹線へのアプローチ部分の共用も可能とされております伯備線の沿線各県との連携・協力を推進するなど、フリーゲージトレインの四国への早期導入に向け、今後、さらに一層強力に取り組む必要があると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 質問の第四点は、水資源対策についてであります。
 ことしも昨年同様、少雨が続き、四国の水がめである早明浦ダムの貯水率が、六月中旬には六〇%、八月上旬には五〇%を割り込み、第一次から第二次の取水制限が実施されるに至るなど、平成六年の異常渇水の再現が懸念されたところであります。その後、取水制限は、九月十一日に解除されることになりましたが、本県における水資源対策の重要性を再認識いたしたところであります。
 そこで、水資源対策に関して二点質問いたします。
 まず、香川県総合水資源対策大綱の改定への取り組みについてであります。
 本県は、平成六年の異常渇水を踏まえ、平成八年三月に、長期的な水資源対策の指針となる香川県総合水資源対策大綱を策定し、安定した水資源の確保と節水型社会の形成という、需給両面から成る総合的な施策を積極的に推進してまいったところであります。
 しかしながら、その後も毎年のように水不足が発生し、たびたび渇水対策本部が設置されているのが現状であります。このため、県では、こうした状況を踏まえるとともに、大綱策定から五年が経過し、水資源を取り巻く自然環境や社会情勢の変化に伴って、新たな課題も生じているとの認識から、現在、大綱の改定作業を進めていると伺っているところであります。
 そこで、今回行っている香川県総合水資源対策大綱改定の具体的な検討内容と、今後の策定スケジュールについてお伺いいたします。
 次に、現在の大綱の柱の一つでもあります、渇水に強い節水型社会の取り組みについてであります。
 水の消費量は、文化のバロメーターとも言われておりますが、元来、水資源に乏しい本県では、水源の新たな確保とともに、水の有効利用と節水により、需要量を抑制することが重要な課題であります。このため、県民一人一人が日常生活の中で節水意識を持ち、節水につながる生活習慣を身につけることが必要であります。家庭においては、節水コマの利用、ふろ水の再利用、雨水利用の促進など、さまざまな節水対策に取り組むとともに、さらに踏み込んで、水の有効利用を図る観点から、一たん排水された水の再利用も重要な課題であります。現在、これらの対策は、一定の成果を上げているところでありますが、より一層の節水対策の推進を図るためには、県みずからの取り組みはもちろんのこと、特に、住民に直接水道水を供給しております市町において、より積極的な取り組みが求められるところであります。
 そこで、渇水に強い節水型社会の実現に向けた市町への指導及び市町と一体となった県の具体的な取り組みについて、知事の御所見をお伺いいたします。
 質問の第五点は、PFIの導入についてであります。
 PFIは、国、地方を通じた財政状況の悪化と、全国の第三セクター方式による地域開発が挫折する中、脚光を浴びてきた社会資本整備に民間資本を導入する一つの手法でありまして、従来の官民が共同出資し、経営に自治体が加わるという第三セクター方式と異なり、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して、民間事業者の自主性と創意工夫を尊重することにより、公共性のある事業を効率的かつ効果的に実施しようとするものであります。この手法を我が国の社会システムに取り入れる民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律、いわゆるPFI法が、平成十一年九月に施行されたところであります。この法律の施行に伴い、既に全国の地方公共団体においては、本年七月末現在、二十五事業でPFI方式による事業の実施方針を決めており、そのうち九事業が、都道府県の事業と伺っております。
 本県でも、サンポート高松のシンボルタワー内に整備が予定されている情報通信科学館において、PFI方式による整備が検討されているところであります。PFI方式の導入により事業を行うことで、低廉かつ良質な公共サービスが提供され、公共部門にとっては、財政支出の削減やリスクを民間に移転できるなどのメリットがあり、また、民間にとっても、安定した収入が得られ、新たな投資機会や事業機会が創出されるメリットがあると言われております。
 一方、デメリットとしては、収益が期待できない事業には、民間が参入してこない、準備に時間がかかり手続が煩雑、リスク負担に対応できる企業が限定される、投資回収期間が一般的に長い等々の問題点が指摘されております。情報通信科学館整備におけるPFI方式の導入の検討に当たっては、サンポート高松のにぎわいに寄与する施設とする観点から、情報通信分野の急速な技術革新に的確に対応するためのリニューアルの問題、官民のリスク分担や行政コストの削減への期待等の問題点や課題が検討されていると思いますが、民間事業者にとって、過大なリスクを負ったり、収益が余り期待できない場合には、参入してこない可能性もありますことから、収益性の問題や官民のリスク分担に対する県の考え方が、導入へのかぎを握っていると考えるところであります。
 そこで、情報通信科学館整備におけるPFI方式の導入について、現在、どのように検討されているのか、お伺いいたします。
 また、今後の県事業へのPFI方式導入の基本的考え方についても、あわせてお伺いいたします。
 質問の第六点は、高度情報ネットワークの整備についてであります。
 四千七百八万人、この数値は、先ごろ総務省が明らかにした、平成十二年末における国民のインターネット利用者推計人口であります。しかも、前年に比べ、七四%という驚くべき増加になっております。産業革命に匹敵する歴史的大革命をもたらすと言われているIT革命、この革命の波は、現在、全世界を席巻しつつあり、インターネット利用者数の増加は、我が国もその例外ではないことを如実に示すものであります。インターネットを初めとするインフォメーションテクノロジー、いわゆるITの急速な進展は、ビジネスや暮らし、さらには、社会経済の仕組みや人々のものの考え方までも大きく変えようとしております。
 このような世界的な潮流の中で、本年一月六日、中央省庁の再編が実行に移されましたが、ちょうど同じ日、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法、いわゆるIT基本法が施行されたところであります。そして、世界最先端のIT国家の実現を目指し、各省庁から、その実現に向けた具体的なアクションプランが次々に発表されております。
 しかしながら、ITの恩恵をすべての国民が享受するためには、これらの国の動きに呼応した、住民に身近な地方公共団体における取り組みが極めて重要であります。情報化はあらゆる分野にまたがることから、それぞれの地方公共団体が、地域の特性を踏まえ、計画的に推進する必要があります。こうした中、先月末、県は本県の今後の情報化推進の基本方針である「かがわITみらいプラン」を取りまとめたところであります。このプランは、必要とするすべての県民が、最先端のIT環境を積極的に活用し、その成果を最大限に享受できる社会の実現に向けて、ネットワークインフラづくり、ITを担う人づくり、ITによる暮らしづくり、ITによる産業づくり及び電子自治体づくりの五つを基本目標に定め、その具体化に向けた施策を明らかにしたものであり、一定の評価ができるものと考えております。これにより、本県のIT社会実現に向けたシナリオは整ったわけでありますが、これからが本番であります。今後、各部局において相互に連携、協力しながら、さまざまな施策が実施されていくことになりますが、本県のIT施策を進めていく上で根幹となるのが、ネットワークインフラの整備であります。
 そこで、「かがわITみらいプラン」において、新世紀高速情報ネットワークの整備を進めることとしておりますが、その整備によって、どのように地域間における情報通信格差が是正され、どのように県民生活における利便性の向上が図られるとお考えか、知事の御所見をお伺いいたします。
 また、新世紀高速情報ネットワーク整備の現在の検討状況と、今後の整備に向けたスケジュールについても、あわせてお伺いいたします。
 質問の第七点は、廃棄物行政についてであります。
 廃棄物行政の円滑かつ適正な推進は、廃棄物の適正処理による、健康で安全な県民生活の確保や資源化、リサイクルによる循環型社会の構築にとって大変重要な課題であります。
 そこで、廃棄物行政に関して、三点質問いたします。
 その第一は、直島町におけるエコタウン事業と県外産業廃棄物の取り扱いについてであります。
 具体的質問に入ります前に、まず一言申し上げておきたいと思います。
 直島町において、県と同町により計画されておりますエコタウンプランの重要な柱であります循環資源回収事業に関し、その計画が、県外産業廃棄物の搬入を前提としたものであることが、さきの六月定例会において、初めて本県議会に対して示されたところであります。
 しかしながら、去る八月二十八日、三菱マテリアル株式会社直島製錬所を総務委員会の現地視察で訪問した折の話では、同社において、既にことしの一月には、県外産業廃棄物の使用を視野に入れたエコタウン事業の概要が検討されていたとのことでありました。
 また、知事が定例記者会見において、「エコタウン事業推進には、県内の廃棄物だけでは足りない可能性が強い」として、県外産業廃棄物の受け入れを示唆したのは、五月二十一日のことであります。、本県の県外産業廃棄物の県内持ち込み禁止の大原則は、豊島問題の教訓によるものであり、第二、第三の豊島を出さないようにとの県民すべての思いから決定された、極めて重たい政策であったところであります。したがって、その方針変更には、県民の思いを酌んで、極めて慎重に、かつ議論を尽くして、県民への説明責任を果たしていくことが必要であるわけであります。
 我が自由民主党議員会は、エコタウン事業の実施に当たっては、資源化リサイクル事業の性格から、原料を広く求めることの必要性につきましては、近い将来においては検討しなければならない課題であると理解しているところであります。
 しかるに、既に方針が決定してから、議会に事後承諾を求めるかのごとき、今回のこのようなやり方につきましては、議会と理事者との信頼関係を著しく損ねるものとして、甚だ遺憾であると申し上げざるを得ないところであり、県民の県に対する信頼が失われないようにすべきであります。
 また、去る二十日には、県は香川県環境審議会において、受け入れについての具体的な基準を明らかにしたとのことでありますが、このことも、受け入れを既成事実化するかのごとく受け取られかねないものであります。今後かかることのないよう強く自省を求めまして、質問に入りたいと思います。
 県は、直島町におけるエコタウン事業の実施につき、事業の実現を図る見地から、県外廃棄物の搬入について、厳正な基準を定めた上で容認しようとしております。この基準は、環境汚染を起こさないこと、適切なリサイクルが行われることなど五つの観点から設定されることになっておりますが、この基準に合致すれば、直島のエコタウン事業に限らず、県外産業廃棄物の搬入を認めていく方針と伺っております。この問題での県民の最大の関心事は、豊島問題のように、県外から持ち込まれた廃棄物が、有価物だとして処理されないまま、大量かつ長期に堆積・放置され、環境汚染、健康被害を引き起こすことになってはならない、すなわち、県内においては、再び豊島のような悲劇が繰り返されてはならないということであろうと思います。したがって、基準の策定に当たっては、県民のこのような不安を完全に払拭するものとする必要があると考えるものであります。そのためには、県外廃棄物の適正な処理はもとより、廃棄物の種類や量が適当であるかどうか、また、搬入方法や保管などの安全についても、十分配慮しなければなりません。
 また、排出事業者や循環事業者に情報公開を求めるとともに、県の情報についても、積極的に県民に開示していくことはもとより、廃棄物の移動から処理までにわたって、適切な監視、指導を行っていく必要があります。
 そこで、このような観点も踏まえ、県外産業廃棄物の県内持ち込みについてどのような基準をつくり、どう運用していくおつもりなのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、現在、県外廃棄物の県内での処分、保管は、産業廃棄物処理等指導要綱により原則禁止されており、この要綱に基づく県の指導は、一定の効果を上げているところであります。
 しかしながら、要綱では、法的には指導に対する応諾義務はなく、また、違反に対する罰則等もないことから、これからの廃棄物行政への取り組みに向けて、その実効性の確保について、不安も生じるのではないかと考えるものであります。県の指導に実効性を求めるのであれば、条例という形式をとる必要があります。私は、法律に定めのない部分について、各県独自の事情と考え方により、条例によって補っていくことも、地方分権の時代にふさわしいと言えるのではないかと考えるところであります。
 そこで、要綱の内容について、その実効性を担保し、県民の不安をぬぐい去るためにも、必要な部分について条例化を図ることについて、知事の御所見をお伺いいたします。
 また、県及び直島町が計画しているエコタウン事業は、県外廃棄物の県内搬入を前提とした事業であることから、まずは県外産廃の取り扱いについて議論を十分に行う必要がありますが、エコタウン事業の中で計画している溶融飛灰再資源化施設は、豊島廃棄物等の中間処理に伴い発生する溶融飛灰についても、処理を行おうとするものであると承知いたしております。
 そこで、豊島廃棄物等を処理するためには、いつまでに溶融飛灰再資源化施設の整備を終わらせる必要があり、そのためには、いつまでに事業に着手しなければならないのか、あわせて知事の御所見をお伺いいたします。
 第二は、廃棄物の不法投棄対策についてであります。
 本年四月、特定家庭用機器再商品化法いわゆる家電リサイクル法が施行されたところであります。法施行の直前には、制度の周知が徹底していなかったこともあって、すべての廃家電が有料になると勘違いしている人も多く、駆け込み処分が急増し、通常月の五倍もの収集依頼を受けた市もあったと聞いております。このような誤解は、不法投棄の一因ともなりますので、十分な制度の周知とリサイクルについての意識の啓発が重要であります。先日、環境省から、対象家電四品目について、家電リサイクル法施行に伴う影響調査結果が発表されましたが、それによりますと、不法投棄された台数は、昨年より二五・五%ふえ、また、半数以上の自治体において、不法投棄台数が増加したということであります。本県におきましても、先ごろ法の対象となっていることを知りながら、エアコンを含む粗大ごみ約八十キロを不法投棄し、廃掃法違反に問われる事案が発生いたしております。
 また、現在、国において、新たに自動車リサイクルシステムの構築が検討されておりますが、一方では、廃車の放置が問題となっているという報道もよく目にするところであります。不法投棄された廃棄物の処理は、地方公共団体にとって大きな負担となるものであり、循環型社会を形成する仕組みを実効あるものにするためには、廃棄物の発生抑制や再利用を図るとともに、不法投棄を防止するシステムを構築することが必要であると考えるものであります。
 そこで、不法投棄の実態をどのように把握し、また、今後、どのような対策を講じていくのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 第三は、ダイオキシン類ばく露対策による廃棄物処理施設の解体への助成についてであります。
 ごみ焼却施設の解体工事に当たっては、本年四月に新しく制定された、国の廃棄物焼却施設内作業におけるダイオキシン類ばく露防止対策要綱に基づき、ダイオキシン類ばく露防止対策を講じることとされております。自治体は、今後、この通知を踏まえた解体工程による対応を行うことになっておりますが、そのためには、財政上相当な負担を強いられ、事実上、解体工事に取り組めない状況となることも懸念されているところであります。本来、ダイオキシン類等の新たな化学物質への対応は、個々の自治体の責務として解決することは困難であり、国の施策として取り組むべき問題であると考えるものであります。環境省では、来年度予算の概算要求に、ごみ焼却施設解体撤去事業補助金四億六千万円を新規計上しているようでありますが、これではとても十分とは言えないところであります。
 そこで、今後、国に対して、ごみ焼却施設解体工事に係る補助金制度などの財政支援を強く要望することはもとより、県としても、何らかの財政支援措置を講じていく必要があろうと考えるものでありますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 質問の第八点は、男女共同参画の推進に関する条例の制定についてであります。
 男女が互いに人権を尊重しながら、均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、そして、ともに責任を担い、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現は、少子高齢化が進む中、豊かで活力ある社会を築く上で不可欠であり、二十一世紀に向けた我が国の新しい社会を構築する上での最重要課題の一つであります。
 本県では、これまでも平成四年に、男女共同参画型社会へ向けての香川行動計画を策定し、平成九年には、これを改定し、男女がともに参画し、真に心の豊かさを実現できる社会の形成に取り組んできたところであります。そして、現在、男女共同参画社会基本法によって作成が義務づけられた、都道府県男女共同参画計画を策定すべく作業中であり、近々には、県民の意見を取り入れた新しい計画が作成されると伺っております。
 また、県では、去る五月、本県初の男女共同参画社会に関する県民意識調査を実施しておりますが、それによりますと、共同参画への理解は進んでいるものの、まだまだ、性別による固定的な役割分担意識やそれに基づく社会慣行などの存在が認められるところであります。このような状況を見たとき、私は、現在、策定中の男女共同参画計画を実現していく上で、男女共同参画を着実に推進するための条例の制定が、ぜひとも必要であると考えるものであります。男女共同参画の推進に関する条例は、現在、十三都道県で制定されておりまして、その内容を見ますと、男女共同参画の推進の基本理念を定め、県や県民、事業者等の責務を明らかにするとともに、男女共同参画の推進に関する施策の基本となる事項などを定めております。
 さらに、今年度中に制定する予定で検討中のところも、十七府県あると聞くところであります。また、さきの県民意識調査におきましても、条例の制定に賛成する意見が多かったと伺っております。
 そこで、男女共同参画の推進に向けて、県民の一層の意識改革を促すとともに、県の強い決意を示す意味でも、男女共同参画の推進に関する条例の制定について積極的に取り組むべきでないかと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 最後の質問は、警察行政についてであります。
 その第一は、犯罪情勢の悪化への対応についてであります。
 警察庁のまとめによりますと、今年上半期に全国の警察が認知した刑法犯は、戦後初めて百万件を突破した昨年上半期より一五・九%ふえ、約百二十九万件にも上り、一方、検挙率は、刑法犯全体で初めて二割を割り込み一九・○%まで低下しており、いずれも過去最悪となっております。刑法犯の認知件数増加の大きな要因は、八割以上を占める窃盗犯の増加によるものであり、検挙率低下の最大の要因は、犯罪の量的拡大によるものであります。
 本県におきましても、ことしの上半期の刑法犯は、昨年同期より一六・八%ふえ七千五百三十一件に達し、検挙率は二七・二%と、初めて三割を割り込んでおります。こうした状況を踏まえ、警察庁長官は、「犯罪の発生に摘発がついていかない。体制が不十分で、ぜひとも警察官を増員する必要がある」と述べるとともに、治安を回復し、国民の安全と安心を確保するため、来年度予算の概算要求に、全国で五千人の警察官の緊急増員要求を盛り込んでいるところであります。今日の我が国社会は、失業率が五%を超え、今後、ますます犯罪の凶悪化や多発が心配される状況にあると言えます。
 そこで、治安の担い手としての警察に対する県民の期待にこたえるため、犯罪情勢の悪化にどのように対応されようとしているのか、警察本部長の御所見をお伺いいたします。
 第二は、開かれた警察への取り組みについてであります。
 まず、警察署協議会の活動についてであります。
 警察署協議会は、四年前の神奈川県警に端を発した全国の警察不祥事を受け、警察改革の柱として、警察法の一部を改正し、本年六月より全国千二百六十五の各警察署に設置が義務づけられたものであります。この協議会は、公安委員会が地域住民の中から委嘱した委員で構成され、警察署長が地域の安全などについて協議会の意見を聞き、管内の警察業務に、その民意を生かそうというのがねらいであります。ストーカー犯罪、携帯電話の出会い系サイトを利用したメル友殺人のほか、家庭内暴力、幼児虐待など、今日の事件はますます複雑・多様化しております。このような状況の中で、地域住民の代表とも言える委員の率直な意見を聞くことは、大いに意義あるものであります。
 本県におきましても、十六の警察署で、合わせて七十四人の委員が委嘱されたようであり、既に一回目の協議会が順次開催されたと伺っております。
 そこで、警察署協議会の運営に当たって、その透明性や公開性を確保するため、どのような方策を講じられているのか、また、この協議会の活動を、今後、どのように警察署の運営に反映させていくのか、警察本部長の御所見をお伺いいたします。
 次は、苦情申し出制度についてであります。
 苦情申し出制度は、警察署協議会の設置と同様に、警察改革の一つとして、本年六月より設けられた制度であり、警察職員の職務執行について苦情のある者は、都道府県の公安委員会に対して、文書で苦情の申し出をすることができ、その苦情の申し出を受けた公安委員会に、その調査結果を文書で回答することを義務づけたものであります。この制度の導入は、第一線の警察官の意識改革を促すとともに、警察の県民への説明責任を果たすものとして、大いに期待されるものであります。私は、警察が県民に真に開かれた警察として親しまれる上で、苦情申し出制度の定着が不可欠であると考えているところでありまして、その成否は、窓口での的確な対応と、その後の申し出案件の迅速な処理にかかっていると思うわけであります。
 そこで、苦情申し出制度の定着とその円滑な運用について、警察本部長としてどのように取り組まれるのか、お伺いいたします。
 最後に、県民に真に開かれた、県民のための警察の実現を目指す警察本部長の決意をお伺いいたしまして、私からの自由民主党議員会を代表しての質問を終わります。

平成12年9月定例会

ただいまから、自由民主党議員会を代表して、当面する県政重要課題について質問いたします。質問に当たりましては、今議会は、私と同僚石川議員とで、論点を二つに大別して臨みたいと思います。
 以下、私から知事並びに警察本部長に質問いたしますが、質問に先立って、一言申し述べたいと存じます。
 森田 一先生には、さきの内閣改造により、めでたく運輸大臣・北海道開発庁長官の要職に御就任されました。郷土香川から久方ぶりの大臣誕生であり、県民挙げて心からお祝いを申し上げるとともに、内外ともに多端の折から、一層の御活躍を御期待申し上げる次第であります。
 次に、最近の国内情勢や県政上の課題について、若干、所懐の一端を申し述べたいと存じます。
 まず初めに、今月十一日の名古屋市など東海地方に降りました百年に一度という記録的な大雨による被害は、死者九人、浸水家屋約七万四千棟という予期せぬ大災害となりました。これら多くの被災者の方々に対して、心からお見舞い申し上げるとともに、復旧の一日も早からんことを切にお祈り申し上げます。
 また、東京都三宅島においては、七月八日に続き、八月十八日の雄山大噴火により、火山灰や噴石の降下が著しく、大規模な火砕流や土石流発生の危険も予測されることから、全島に避難勧告が発令され、このため九月五日には、防災関係者を除くすべての住民が島外へ避難を余儀なくされるという非常事態となり、既に三週間余を経過しております。いつ終わるとも知れない不自由な生活を続けておられる住民の方々の不安と苦痛は察するに余りあり、心からお見舞い申し上げます。また、防災関係などで残留されている方々を初め、関係機関の御苦労もはかり知れないものがあり、その御尽力に深く敬意を表するものであります。
 この上は、一日も早く火山活動が終息して、早期復旧がなされ、住民の方々が、再びもとの平穏な暮らしに立ち返る日の一日も早からんことを切に念願してやみません。
 思えば、ことし五月、およそ二十三年ぶりに噴火しました北海道有珠山が、七月になってようやく一応のマグマ終結宣言がなされ、ほっとしたのもつかの間の今回の三宅島噴火であり、改めて火山列島日本の宿命を痛感するものであります。先年の阪神・淡路大震災を思い起こすまでもなく、県当局におきましても、不断の防災体制に万遺漏なきを特に要請する次第であります。
 さて、私ども自由民主党議員会では、かねてフリーゲージトレインの四国導入を早くから提唱しているところでありますが、これが早期実現を期して、去る七月中旬、世界最大規模と言われるアメリカ、コロラド州プエブロの鉄道総合技術研究所へ有志議員による視察を行ったところであります。「百聞は一見にしかず」と申しますが、軌間変換装置を目の当たりにして、また、時速二百二十五キロメートルの走行実験にも試乗するなどのほか、走行に伴うさまざまな問題点等につきましても、つぶさに調査研究してまいりました。
 既に昨年五月、JR瀬戸大橋線が新幹線と在来線の直通運転化事業の調査路線に決定しており、近い将来、瀬戸大橋をフリーゲージトレインが走行可能になった暁には、経済、観光面での波及効果はもとより、サンポート高松のにぎわいにも大きく貢献するものと期待されるところであります。
 幸い、森田 一運輸大臣には、この実現に並々ならぬ御理解と関心を寄せていただいておりますので、今こそ地元が一丸となって、強力な誘致運動を展開してまいらなければならないものと思う次第であります。
 ところで、真鍋知事には、早いもので、このほど知事就任三年目を迎えられました。先日の定例記者会見でも、これまでの二年間を総括するとともに、今後の県政への取り組みについて、前向きな決意を表明されておりますことは、まことに頼もしい限りであります。中でも、豊島問題の最終合意に基づく直島町での廃棄物処理事業の円滑な推進を図るため、このほど直島町と協定を締結し、循環型社会の形成を目指し、エコタウン構想の策定、実現に向けて意欲的に取り組んでおられる姿勢を明確にしておられることは、大いに評価いたしたいと思います。
 この上は、去る六月に策定されました香川県新世紀基本構想に基づく各種施策の積極的推進に、一層の御精励を心から期待するものであります。
 以上、申し述べまして、質問に入ります。
 質問の第一点は、行財政問題についてであります。
 その第一は、来年度予算編成に向けての基本方針についてであります。
 二十一世紀は、故小渕総理が明治維新、敗戦に次ぐ第三の改革と位置づけ、中央省庁の再編とともに、幕をあけようとしております。中央省庁等改革の大きな柱の一つは、内閣総理大臣の権限と内閣機能の強化であります。来年一月には、新しく創設される内閣の中に、学識経験者を加えた経済財政諮問会議が設置され、国の財政運営や予算編成の基本方針の決定に、内閣総理大臣のリーダーシップが発揮できる体制整備が図られることになっております。
 また、森総理は、本年七月の第百四十九回国会の所信表明演説において、経済の新生、社会保障の新生、教育の新生など、五つの新生を柱とする、次なる時代への改革プログラムである日本新生プランを政策の基本に据え、その実現に取り組む決意を表明したところであります。
 このため、現在、作業が進められている国の来年度予算編成においても、省庁再編を先取りする形で、森総理を中心とした政府与党で構成する財政首脳会議を発足させ、来年度予算の概算要求基準を決定するとともに、その概算要求基準においても、日本新生プランの重要四分野であるIT革命の推進、環境問題への対応、高齢者への対応及び都市基盤整備を中心に、二十一世紀の我が国経済社会の新生に資する施策に予算配分する、七千億円の日本新生特別枠を設けるなど、日本新生プランの実現に向けた取り組みがなされているところであります。
 こうした中、先月末、国の平成十三年度の概算要求が取りまとめられ、一般会計の歳出総額は、今年度当初予算比〇・二%減の八十四兆八千三百億円、また、国債費、地方交付税交付金を除く政策的経費に充てる一般歳出は、今年度当初予算比二・一%増の四十八兆四千億円であることが公表されたところでありますが、この概算要求は、公需から民需へのバトンタッチを円滑に行い、景気を本格的な回復軌道に乗せるという、政府の財政運営方針を反映したものであり、森総理の日本新生プランの具体的施策の実現努力と相まって、大いに了とし、評価するものであります。
 一方、本県におきましても、こうした国の動向を見きわめながら、間もなく平成十三年度の予算編成作業が始まるわけでありますが、来年度は二十一世紀の幕あけの年であり、真鍋知事がみずから策定した香川県新世紀基本構想「みどり・うるおい・にぎわい創造プラン」の実現に向けて、第一歩を踏み出す意義深い年であります。
 今、県民は、二十一世紀の県勢発展を予感し、そして、確信できる真鍋知事のリーダーシップが発揮された二十一世紀元年予算を、大いに期待するところであります。
 そこで、厳しい財政状況の中、知事は、どのような基本方針でもって来年度の予算編成に臨まれようとしているのか、その決意と御所見をお伺いいたします。
 第二は、人件費の削減等についてであります。
 自治省が発表した平成十一年四月一日現在の地方公務員の給与実態調査によりますと、香川県の一般行政職の給与水準は、いわゆるラスパイレス指数で見ると一〇四・一で、全国六位、中・四国、九州ではトップとなっております。東京、神奈川、埼玉など大都市圏を中心に他の都道府県では、財政状況を理由に、給料や管理職手当をカットするなどの措置を講じておりますので、平成十二年には、さらに順位が上がることが予想されます。
 民間においては、徹底したコスト削減やスリム化を進めている中、県職員の給与がこのように高い水準にあることは、なかなか県民の理解を得ることが難しいのではないかと考えるところであります。
 また、二十一世紀の新しい香川の構築を目指し、財政構造改革を進めるためには、まず人件費などの義務的経費の抑制に努め、弾力的な財政運営を実現することが不可欠であります。
 そこで、このような状況について、知事はどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
 また、本県においても、厳しい財政状況の中にあり、今後、県民の方々に負担をお願いする局面もふえてくることと思われることから、それに対する県の姿勢として職員の給与カットなど、人件費の抑制措置を講じることも必要になるのではないかと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 さらに、今後十年の間に、団塊の世代と言われる世代の職員の大量退職時代を迎えるわけでありますが、ピークとなる平成十九年度から二十一年度には、知事部局、教育委員会、公安委員会等をあわせて、単年度で約百四十億円の退職金が必要になると伺っております。
 そこで、財政状況の厳しい本県にとって、今からその財源確保を心配するところでありますが、その対応についても、あわせて知事の御所見をお伺いいたします。
 第三は、職員の管理職任用に当たっての昇任試験制度の導入についてであります。
 本年四月から地方分権一括法が施行され、今や地方分権は、実行の段階にあります。地方分権の時代におきましては、県や市町などの地方公共団体は自己決定、自己責任の原則のもと、新たな課題に主体的に取り組まなければなりません。このためには、知事が人事・組織の活性化に、そのリーダーシップを発揮するとともに、管理・監督の立場にある職員が、まず、みずから頭の切りかえを行い、部下職員の模範となるよう積極的に課題に取り組むことが不可欠であります。
 また一方、民間企業においては、長期継続雇用を前提とした日本型雇用システムの見直しが進む中で、人事管理については、年功的人事から能力、実績による人事へと急速にシフトをしております。
 こうした情勢を考慮しますと、県においても、地方分権の時代に的確に対応できる、やる気のある優秀な人材をいかに適切に選抜し、管理職へ登用していくかということが、極めて重要な課題になってきております。
 ところが、本県職員の人事管理を見てみますと、かつて係長への任用に当たっては係長選抜試験、課長補佐への任用に当たっては特別研修生選抜試験が、それぞれ実施されておりましたが、いずれの試験も昭和五十年代に廃止され、それ以降、昇進や処遇が年功序列的になってきているのではないかと思われます。これでは、職員の士気を高め、組織の活性化を促すことはできないのではないでしょうか。
 今後におきましては、職員の能力や勤務実績について公正で客観的な評価を行い、適材適所の観点から、優秀な人材を積極的に昇任させるような人事管理を行う必要があると考えます。
 そこで、職員の管理職への任用に当たっては、新たに昇任試験を創設するなど、職員の能力、実績を重視した人事管理に大胆に転換していく必要があると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 第四は、県有未利用地の処分についてであります。
 県が保有する土地は、県民共有の財産であり、事務・事業の実施に不可欠のものでありますが、事業の廃止や施設の移転などにより、その一部が、本来の目的が失われた後も使用されない、未利用地となるケースが生じております。
 本県の未利用地の状況は、平成十二年四月現在、坂出市番の洲埋立地の十二・八ヘクタール、坂出市総社塩田跡地の十・二ヘクタール、三木町の香川医科大学周辺用地三ヘクタールなど、十五件で計約三十七・一ヘクタールであると伺っております。
 県は、公共用地等の取得、未利用地の利用計画などについて調査・検討する機関として、庁内関係各課で組織する県有地有効活用検討委員会を設置し、未利用地の活用について、毎年検討を加えております。さきの六月定例会総務委員会においては、高松市藤塚町の元部長公舎跡地四百九十二平米及び同市上福岡町の元第三港湾建設局高松工事事務所宿舎跡地五百二十八平米を一般競争入札により、年内に売却することを明らかにしたところであります。
 こうした未利用地の処分については、厳しい本県の財政状況においては貴重な財源になるとともに、維持管理費用を削減することにもなり、行財政改革に大きく貢献するものと考えます。
 そこで、有効利用の見通しの立たない県有未利用地については、積極的に売却を検討すべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 質問の第二点は、市町合併の促進についてであります。
 本年七月末に実施された全国世論調査によりますと、合併に賛成またはどちらかといえば賛成の割合が五六%と過半数を超えており、全国的に市町合併の機運が醸成されつつあります。
 一方、本県の現況を見ますと、大川郡では、本年四月一日に東部三町と西部五町の二つの合併協議会が設置され、また小豆郡では、来年の四月一日に三町の合併協議会が設置される予定であり、さらに木田郡、三豊地域においても新たな動きが出てきております。このような状況にかんがみ、市町合併の促進について三点ほど質問いたします。
 その第一は、現在の市町合併の進捗状況についてであります。
 県は、本年四月、市町合併パターンを含む香川県市町合併促進要綱を策定し、合併促進に取り組んできておりますが、さきに触れた県内の市町合併の進捗状況について、知事はどのように受けとめられておられるのか、御所見をお伺いいたします。
 第二は、市町合併の目途についてであります。
 市町合併の推進を目的として、関係法律の特例その他必要な措置を定めている市町村の合併の特例に関する法律、いわゆる合併特例法では、その有効期限が平成十七年三月三十一日と定められており、この期限まであと五年足らずとなっております。
 そこで、本県の市町合併の目途についてどのように考えておられるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 第三は、町が合併して新たな市となる場合の、人口要件等の緩和についてであります。
 地方自治法では、幾つかの町が合併して新たな市となるための要件の一つとして、合併後の人口が五万人以上必要とする人口要件を定めておりますが、合併特例法では、これを四万人以上と緩和しております。ところが、合併に向かって具体的法手続が進んでいる本県の状況を見てみますと、大川西部を除いて、大川東部が三万八千人弱、小豆郡が三万七千人弱と、いずれも四万人の要件を満たす状況にはありません。
 市と町では、取り扱う事務に大きな相違があり、例えば、市になれば生活保護法、児童福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法等に定める事務を取り扱う福祉事務所を設置することとなり、社会福祉行政全般に対する実施体制が整備されることから、行政サービスを充実することが可能となります。
 そこで、国に対し、町が合併した場合の市となるための人口要件等のさらなる緩和を強く求めていく必要があると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 質問の第三点は、市町への権限委譲についてであります。
 本年四月一日には、いわゆる地方分権一括法が施行されましたが、今回の地方分権改革の眼目は、地域住民の自己決定、自己責任にゆだねる範囲を拡大することであります。
 このためには、住民に最も身近な地方公共団体である市町の権限範囲を拡大することが重要となりますが、地方分権一括法における県から市町への権限委譲の方法には、個別の法律改正による方法と、地方自治法に基づく方法の二通りがあります。特に、後者は、地域の実情に応じた権限委譲を進めることを目的として、知事の権限に属する事務の一部を、県の条例に基づいて市町に委譲するという条例による事務処理の特例制度であり、この制度を活用し、市町への権限委譲を積極的に進めることによって、県民が地方分権の成果をより実感することができるのではないかと考えます。
 本年六月定例会において、知事は、県内の全市町に対して、権限委譲に関する意向調査を行い、都市計画法に基づく開発行為の許可など、まちづくり、土地利用に関する事務を初め、保健・福祉・医療など、各分野にわたる二十一事務二百七項目の委譲案を市町に提示しており、市町と十分協議を行った上で、本年十二月議会に事務処理の特例に関する条例改正案を提案する旨を答弁されたところであります。
 そこで、市町への権限委譲に関して二点ほど質問いたします。
 まず、県から市町への権限委譲についての取り組み状況についてであります。
 十二月定例会に条例改正案を上程するためには、早急に市町長の意見を取りまとめる必要があると思いますが、これまでの取り組み状況について、知事にお伺いいたします。
 次は、権限委譲に係る市町への支援についてであります。
 権限委譲に伴う市町の事務処理に必要な経費の財源については、県が必要な措置を講じなければならないことは当然でありますが、財政面だけでなく、ソフト面での支援策が重要となります。
 そこで、県は、市町職員が委譲事務を的確かつ迅速に処理できるよう、どのような支援策を行おうと考えているのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 質問の第四点は、電子県庁の推進についてであります。
 政府は、子供からお年寄りまで、すべての国民が、世界規模で生じている情報通信技術による産業・社会構造の変革、いわゆるIT革命の恩恵を享受でき、かつ国際的に競争力のあるIT立国の形成を目指し、本年七月七日に、内閣に情報通信技術戦略本部、いわゆるIT戦略本部を設置いたしました。
 また、自治省内には、地方公共団体においてもIT革命に対応して、情報化施策を的確に推進していく必要があるとして、IT革命に対応した地方公共団体における情報化推進本部、略称地域IT推進本部を設置したところであります。
 さらに、地域IT推進本部は、地方公共団体がIT革命に的確に対応していくためには、電子自治体の実現を図るとともに、社会・経済活動の活性化に資するための情報基盤の整備に取り組む必要があるとの基本的な考え方のもと、先月二十八日、IT革命に対応した地方公共団体における情報化施策等の推進に関する指針を発表したところであります。
 そこで、この指針に関して、電子県庁の推進を図る観点から、三点ほど質問いたします。
 その第一は、電子県庁の推進への取り組みについてであります。
 国におきましては、二〇〇三年度までに、国への申請等個別手続のオンライン化を図ることとしておりますが、本県における電子県庁の実現に向けて、知事はどのように取り組まれるお考えなのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 第二は、電子県庁の実現に向けた情報化施策推進のための体制整備についてであります。
 国の指針によると、行政手続のオンライン化、県民個人を認証するための電子認証システムの整備など、電子県庁に向けた情報化施策は、県のあらゆる業務にまたがることから、計画の策定、法令等の整備、情報システムの整備・運用管理、評価等にわたって、情報担当部局と業務担当部局との役割分担を明確にしながら、知事のリーダーシップのもと、全庁的な推進体制を整備する必要があるとされております。そこで、早急に推進体制の整備に取り組む必要があると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 第三は、地域における情報基盤の整備についてであります。
 地域における情報基盤の整備は、民間主導のもとに進められることが原則でありますが、その結果、地域間において情報格差が拡大することが懸念されるところであります。このため、県において公共施設等を相互に接続する光ファイバーの整備や、公共情報端末の図書館など公共施設への設置など、情報通信格差を是正する施策に取り組む必要があると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 質問の第五点は、本州四国連絡橋公団に対する出資金についてであります。
 本州四国連絡橋公団は、本年八月二十二日、香川県を初め関係十府県市に対し、本州四国連絡道路に係る出資金の出資期間を十年間程度延長したい旨の方針を示したと報道されております。
 御承知のとおり、本州四国連絡道路事業は、独立採算制により運営されており、その採算性を確保するため、本四公団に係る現行制度や本四連絡橋が関連地域にもたらす架橋効果などを勘案して、国と関係府県市が本四公団に対して出資を行っているところであります。
 平成十二年度までの本県の出資金の累計額は三百四十六億円に上っており、平成十二年度の単年度出資額二十八億九千万円が変更されないと仮定すれば、出資期間が十年間延長されますと、累計で二百八十九億円が追加出資となり、厳しい財政状況が続く本県にとりまして、大変大きな負担増となります。
 そこで、この出資金に関連して二点ほど質問いたします。
 まず第一は、本四公団の出資期間の延長方針に対する県の対応についてであります。
 現行の本州四国連絡道路の建設費に係る借入金等の償還計画は、平成九年に本州四国連絡道路三ルートの全通を控えて策定し直されたもので、償還期間が三十三年から五十年に延長されるとともに、出資金の増額と出資期間の延長が行われました。
 今回、本四公団は新たな収支計画に基づき、さらに出資期間の延長が必要と判断したものと思いますが、現行の償還計画は平成九年に策定されたものであり、まだ策定から三年しか経過しておりません。
 そこで、本四公団への出資期間の延長問題については、本四公団に対し、出資額及び出資期間の長期的な見通し等について十分な説明を求めた上で、慎重に判断すべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 第二は、本四公団に対する国の助成措置についてであります。
 本四公団は、平成十三年度政府予算の概算要求において、利払い負担を軽減するため、国の無利子融資八百億円を要求しており、また、今後引き続き無利子融資を予算要求する方針であるようであります。仮にこうした助成制度が確立し、さらに拡充されますと、県の出資額の減額や瀬戸大橋の通行料金引き下げの可能性も出てまいります。
 そこで、県は、本四公団及び他の関係府県市ともども、この新しい国の助成制度が確立されるとともに、今後、さらに拡充されるよう国に対して強く要望する必要があると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 質問の第六点は、高松空港の拠点性の強化についてであります。
 高松空港は、平成元年十二月の開港以来、順調に輸送実績を上げておりますが、残念ながら中四国の拠点空港としての地位を確立するまでには至っておりません。
 そこで、高松空港が中四国の拠点空港を目指す上での課題について、三点ほど質問いたします。
 第一は、東京路線のトリプルトラック化についてであります。
 東京路線は、本年四月、路線開設以来の乗客累計数が一千万人を突破した高松空港のドル箱路線であります。現在、全日空と日本エアシステムの二社体制で運航されていますが、平成十一年度の輸送実績が、利用者数百十七万人、座席利用率六九%と、路線別輸送実績は全国二十二位になっております。
 また、運輸省は、国の規制緩和政策の一環として、平成九年四月から航空会社の新規路線への参入規制を廃止するなど、競争促進施策を推進しているところであります。こうした諸情勢を踏まえ、本県としては高松空港の拠点性を高める上から、東京路線の日本航空を加えた三社体制を実現することが重要と考えるところであります。
 そこで、東京路線の民間三社体制による運航、いわゆるトリプルトラック化に向け、今後どのように取り組むのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 第二は、国際路線の新規開設についてであります。
 中四国地域の国際路線の開設状況を見ますと、岡山空港がグアム、ソウル、上海の三路線、広島空港が北京、大連、香港、ホノルル、ソウル、上海、シンガポール、西安の八路線、松山空港がソウルの一路線となっております。また、岡山空港については、来春、福岡空港経由のマレーシア路線が新設される予定となっております。
 一方、高松空港の国際定期路線はソウルの一路線だけであり、高松空港を国際化空港として一層充実させるためには、今後とも、国際チャーター便の運航を促進する中で、新たな航空路線の開設を目指すべきであると考えます。
 そこで、高松空港のチャーター便の輸送実績から見ても、他の路線と比較して群を抜いており、広島、岡山空港の既設路線とも重複しない台湾との定期チャーター便の就航が緊急な課題であると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 第三は、滑走路の延長についてであります。
 地方空港で、米軍または自衛隊関連の空港を除いて、二千五百メートルを超える滑走路を整備しているか、または整備中の空港は十三空港であります。このうち中四国空港では、広島空港と岡山空港の二空港が整備中で、広島空港が本年度末、岡山空港が来年秋に、それぞれ三千メートルで供用開始となる予定であります。
 特に岡山空港は、県管理の第三種空港でありますが、岡山県は地域振興の観点から、国の補助を受け、二千五百メートルから三千メートルへ滑走路を延長しており、これにより、マレーシアだけではなく、近隣の東南アジア諸国との交流の促進や大型貨物機の就航を目指している旨、仄聞しております。
 そこで、地方分権の進む中において、国際航空路線新規開設の地域間競争が、今後ますます激しくなることが予想されることから、本県におきましても、高松空港の三千メートル滑走路延長について取り組む必要があると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 質問の第七点は、パーク・アンド・ライドの導入についてであります。
 県都高松市においては、国道十一号、三十二号、百九十三号など、放射状に延びる幹線道路において、通勤時間帯を中心に渋滞が深刻化しております。高松市、県、国の関係機関で構成する高松都市圏交通円滑化検討部会においては、これらの渋滞緩和に向けて、重点的な交通基盤整備と交通需要マネジメントを実施することにより、効率的、効果的に都市圏の交通円滑化の実現を図ることとしており、昨年七月に同部会が行った琴電岡本駅におけるパーク・アンド・ライドの実験は、こうした施策の一環として実施されたものであります。
 その実験結果によりますと、国道三十二号の岡本から円座付近までにおいては、走行速度の上昇や所要時間の短縮など、渋滞緩和に一定の効果があらわれ、実施する規模の拡大によって、一層の効果が期待できるとされております。
 一方、モータリゼーションの進展などにより、鉄道、バスなどの公共交通機関の利用者数は昭和四十年代から減少が続き、ピーク時に比べ、JR四国においては約半分、琴電については約六割、県内の路線バスについては約一割というような、まことに驚くべき現状となっております。
 しかしながら、これらの公共交通機関は県民の日常生活を支えるとともに、地球温暖化の防止や省エネルギーの推進、多発する交通事故の抑止、高齢者や障害者等の円滑な移動の確保などの面からも、非常に重要な役割を担っており、自家用車から公共交通機関への転換が強く望まれているところであります。自家用車から鉄道やバスに乗り継ぐパーク・アンド・ライドは、こうした要請にこたえ、公共交通機関の利用促進を図るとともに、市街地の渋滞緩和にも資する、非常に有効な施策であると考えるものであります。
 そこで、県が本年六月に策定した香川県新世紀基本構想においても、パーク・アンド・ライドの導入を進めることとしておりますが、その実現に向け、今後どのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 質問の第八点は、廃棄物対策についてであります。
 その第一は、豊島廃棄物等対策事業についてであります。
 豊島廃棄物等対策事業につきましては、本年六月の公害調停の成立を受け、豊島廃棄物等技術委員会や豊島廃棄物処理協議会の設置、直島町との協定の締結など、調停条項の実現に向けて、着実に歩みを進めているところであります。
 中でも、瀬戸内海の将来にわたる環境保全のための暫定的な環境保全措置につきましては、既に発注がなされ、今月中にも着工すると伺っており、直島町における中間処理施設の建設につきましても、発注仕様書をもとに、公告手続がなされ、入札に向けての手続が進められると伺っております。
 そこで、瀬戸内海の環境保全を図るためには、これらの事業を円滑かつ着実に進める必要があると思いますが、今後の整備スケジュールについてお伺いいたします。
 第二は、直島町におけるエコタウンプランの策定及び同町の活性化についてであります。
 直島町は、離島であるという地理的、地形的なハンディキャップを有することに加え、近年は町の人口が急激に減少するなど、地域活力の低下が懸念されているところであります。同町において、豊島廃棄物等の焼却・溶融処理を行うことになりましたことから、県は、新しく総合的な資源化・リサイクルについての環境産業の展開により、同町の活性化を図るエコタウンプランの策定に向け、今年度、プラン策定の前提となる基礎調査を行うこととなり、今議会に仮称でありますが「エコアイランドなおしまプラン」の策定調査事業費として、補正予算が計上されております。
 そこで、基礎調査の内容及びエコタウンプラン策定に向けての進捗状況と、今後の予定、また、エコタウン事業の内容として、どのようなものを考えられておるのか、お伺いいたします。
 また、直島町は財政基盤の低下から、港湾や下水道、住宅の整備を初め、医療の確保や小・中学校の老朽化に伴う改修など、多くの課題を抱えている上、単独離島であるため、行政の広域化を図ることが困難な状況にあります。
 そこで、エコタウン事業に加え、同町の活性化を図るため、県においては、町と協力して振興施策を検討する必要があると考えますが、あわせて知事の御所見をお伺いいたします。
 また、最近、三菱自工のリコール問題や三菱電機製テレビの発火事故の公表のおくれなどについて報道がなされているところでありますが、情報のタイムリーな提供と説明は、大変重要なことであると考えます。
 先般、本県議会の環境対策特別委員会が視察した宮城県鶯沢町の家電リサイクル事業におきましては、計画段階から住民に情報を開示することにより、住民、企業、行政のパートナーシップによる円滑な事業推進が図られているところでありまして、この姿勢は、直島町におけるエコタウン事業の計画実施に関しても大切であろうと考えるものであります。
 そこで、三菱マテリアル株式会社は、直島町におけるエコタウン事業の中心的な役割を果たすことが期待されておりますことから、事業の推進に当たっては、県はもとより企業においても、広く情報の公開を求められるよう強く望むものであります。
 第三は、産業廃棄物最終処分場の設置への県の関与についてであります。
 廃棄物の処理につきましては、循環型社会の形成に向けて、県民、産業界挙げて廃棄物の排出抑制、最終処分量の削減等の対策に積極的に取り組んでいるところであり、昨年度の産業廃棄物の実態調査では、最終処分量は大幅に減少したとの報道もなされておりますが、なお多くの量が最終処分を必要としております。
 一方、県下の最終処分場の残余年数につきましては、平成十一年度末現在で、一般廃棄物では約十二年、産業廃棄物では約二年という状況となっております。このようなことから、最終処分場の確保は、これからも重要な課題でありますが、近年、最終処分場の確保は非常に困難になっており、処分場不足は深刻な問題となっております。
 このような情勢の中、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の改正により、廃棄物処理センターの指定要件が緩和され、指定の対象が従来の公益法人から国、地方公共団体の出資にかかわる法人や、いわゆるPFI法の選定事業者に拡大されるとともに、県に一つに限り指定できる制度が撤廃されたところであります。
 また、県は、産業廃棄物の適正な処理を確保するために必要であると認める産業廃棄物の処理を、その事務として行うことができるようになっております。
 そこで、この法改正を受け、公共関与による産業廃棄物最終処分場の設置につきましては、県はどのように対応されるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 質問の第九点は、かがわエコオフィス計画の推進とISO一四〇〇一の認証の取得についてであります。
 現下の環境問題は、生活排水による水質汚濁や二酸化炭素等の排出による地球温暖化、ライフスタイルの変化に伴う大量消費、大量廃棄による廃棄物処理の問題などに見られるように、日常生活や事業活動に伴って生じる環境への負荷を低減することが、重要かつ緊急な課題となっております。
 このため本県では、平成十年度から香川県環境保全率先実行計画、いわゆるかがわエコオフィス計画を策定し、環境への負荷の少ない事業活動を県が率先して示すべく、全庁的に取り組んでいるところであります。
 そして、平成十二年度はこの計画の最終年度となっており、三年間の実績や技術的進歩等を踏まえ、所要の見直しを行うこととされております。
 そこで、この計画を三年間実行してこられた中で、どのような効果が上がり、また、どのような点が課題として浮かんできたのかお伺いいたします。
 ところで、環境への取り組みの国際的な証明に、ISO一四〇〇一の認証制度があります。ISO一四〇〇一は、企業や事業体がそれぞれの活動の中で、環境問題とのかかわりを考え、環境行動の改善を継続的に実施するシステムをみずから構築し、そのシステムの構築と運用を公正な第三者である審査登録機関が評価する、国際的な評価基準であります。
 最近、地方公共団体におきましても、この環境マネジメントシステム、ISO一四〇〇一の認証を取得する動きが盛んとなり、都道府県レベルにおきましても、滋賀県を第一号として四国では高知県、徳島県が既にその認証を受けており、全国では現在十一都府県が取得済みであり、取得の準備を進めているところが十五道県ほどあるやに伺っております。
 県において、この認証を取得することの利点といたしましては、環境への負荷の少ない県組織の実現、県の組織体制や事務事業の運営が、環境面において国際的に認められるというPR効果、さらにはコスト削減などの効果のほか、認証取得のノウハウを県民の民間企業や市町に還元できるなどが考えられるところであります。
 かがわエコオフィス計画もISO一四〇〇一も、その目標とするところは同じであることから、この計画を三年間実施してきた中で明らかとなった効果や課題を踏まえ、県が率先して環境保全に向けた取り組みを、さらに徹底する必要があると考えます。
 そこで、本県におきましても、エコオフィス計画を環境マネジメントシステムの中に位置づけ、環境への負荷低減への取り組み姿勢を県内外に示すとともに、第三者機関の審査による担保のもと、その実行に努め、県民の範たるべきISO一四〇〇一の認証取得を目指すべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 最後の質問は、警察行政についてであります。
 その第一は、市町合併の進捗に伴う警察署配置の見直しについてであります。
 二十一世紀の到来を目前に控え、地方分権の推進、少子・高齢化の進展、交通及び情報通信手段の飛躍的発展、国及び地方を通じる財政の著しい悪化など、市町を取り巻く社会、経済情勢は大きく変化しております。
 こうした中、市町においては環境問題、住民のライフスタイルの変化、地域間競争、国際化などの広域的行政課題への対応や、行財政基盤の強化が強く求められているところであり、市町合併が避けて通れない課題となっております。
 本県における合併推進の現状につきましては、大川郡において最も進展しておりますが、その他の地域においても合併に向けた論議が活発に行われているところであります。
 一方、県下の警察署の配置を見てみますと、昭和二十九年の現行警察法施行以来の十六署体制がそのまま続いており、治安情勢、社会経済情勢の変化に対応した見直しが課題となっております。
 そこで、県警本部長に市町合併の進捗に伴う警察署配置の見直しについて、二点ほど質問いたします。
 まず、県下の警察署配置の見直しに対する基本的な考え方についてであります。
 今後、合併が各地域単位で、順次進捗していくと思われますが、警察署の再配置については、市町合併以外の要素も検討の上、長期的な見通しのもとに、県下全域について検討すべきものと考えますが、警察署配置の見直しに対する基本的な考え方について、警察本部長の御所見をお伺いいたします。
 次は、合併が具体化しつつある大川郡内の三警察署に係る見直し等についてであります。
 大川郡では、東部三町及び西部五町において、それぞれ合併協議会が設置され、合併に向けての具体的手続が進展しております。
 そこで、このような状況を踏まえ、大川郡内の三警察署について、統廃合を含めた見直しを行うのかどうか、また、見直す場合にはどのような考えのもとに行うのか、さらに、周辺の警察署である高松北署、高松南署及び高松東署の管轄区域の見直しについても行うのかどうか、警察本部長にお伺いいたします。
 その第二は、犯罪情勢の悪化に対する警察の対応についてであります。
 警察庁が発表した今年上半期の刑法犯の状況を見ますと、前年同期に比べ刑法犯の認知件数が百十一万件余と一二%増加し、過去最悪となった一方、検挙した件数は二十八万件余で、前年同期に比べ二〇%減少し、検挙率は約二五%と、一〇ポイント低下しております。
 また、本県の状況を見てみますと、本年上半期の刑法犯の認知件数は六千五百件と前年同期に比べ約二二%大幅に増加した一方、検挙件数は二千百四十九件と前年同期に比べ約二七%減少した結果、検挙率は三三%と、前年同期の五五%に比べ、大幅に低下しております。
 このように、刑法犯罪が増加する一方、検挙件数が減少し、その結果、検挙率が急速に低下していることは、ゆゆしき問題であり、これを放置すれば国民の犯罪に対する倫理観の欠如を誘引し、ひいては、安全な地域社会が崩壊することを危惧するものであります。
 そこで、このような犯罪情勢の悪化に対する対応について、二点ほど質問いたします。
 まず、第一線である現場組織の強化についてであります。
 犯罪を減少させるためには、犯罪の未然防止と迅速かつ的確な犯罪捜査が必要であり、そのためには警察署、駐在所、交番など、第一線である現場組織を強化する必要があります。しかし、最近、警察の第一線の現場では、ストーカー、ドメスティック・バイオレンス、困り事相談など、新たな対応に迫られる事案が増加しており、業務の質が変化するとともに、量が増加しております。
 また、警察職員の年齢構成においては、五十歳前後の団塊の世代が全体の二割弱を占め、大きな偏りが見られることから、数年後には、職員の大量退職を迎えることになり、組織の戦力ダウンが懸念されているところであります。
 そこで、現在の定員を最大限に機能させるためには、管理部門から第一線への人員の配置転換を進めるなど、組織の見直しと徹底的な合理化を推進すべきであり、このような努力をした上で、なお現場業務に支障が生ずる場合には、定数の見直しも検討すべきと考えますが、どのように第一線の現場組織の強化に取り組まれるのか、警察本部長にお伺いいたします。
 次は、犯罪のないまちづくりへの取り組みについてであります。
 道路や公園における性犯罪やひったくりなど、女性、子供、高齢者を対象とする犯罪が増加するなど、県民の身近な安全が脅かされつつあり、犯罪のないまちづくりが強く求められております。
 この課題に対して警察は、公園、街路などの犯罪、事故の危険箇所の点検やパトロールを強化する必要がありますが、これを実効あるものとするためには、情報の提供や防犯施設の整備など、地域住民や関係機関との連携が必要であります。
 そこで、犯罪のないまちづくりの実現に向けて、地域住民や関係機関との連携にどのように取り組まれるのか、警察本部長の御所見をお伺いいたします。
 以上で、私からの自由民主党議員会を代表しての質問を終わります。